昭和恐慌と経済政策 (講談社学術文庫) の感想
参照データ
タイトル | 昭和恐慌と経済政策 (講談社学術文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中村 隆英 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061591301 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
経済史が専門の大家による名著の再々版であるが,大変分かりやすく,わくわくさせる
素晴らしい名著の輝きは衰えていない。まだの人は,ぜひ読んでもらいたい。
経済政策中心ではあるが,意外にもそれをとりまく政治状況に大きなスポットライトを照射し,
当時の大蔵大臣・井上準之助の苦悩を好敵手高橋是清と対比し,描いている。
結果論では愚かな政策としかいえないが,当時の財界・銀行界では金解禁を待望し,
その後の継続を支持する声が多く,当時の不況も『しばらく我慢すれば陽が差してくる』と
分析されていたらしい。大変意外である。
この方面では,城山三郎著の『男子の本懐』というベストセラーもあるからか,浜口首相
と井上蔵相の金解禁政策の高評価に比べ,高橋の金本位制離脱と積極財政は民間の
評判が悪く,日銀関係者の評価も少ない。
本書は,井上蔵相の政治的野心にも触れながら,英国の金本位制離脱表明後なぜ
日本の金本位離脱までの遅れが生じたかを,様々な政治情勢や社会情勢との関連を示し
ながら,まるで現在の『決められない政府』のことのように鮮やかに描いている。現在の
平成不況からの脱出の始まりにも関連して,一国民としてもぜひ読んでもらいたい。
素晴らしい名著の輝きは衰えていない。まだの人は,ぜひ読んでもらいたい。
経済政策中心ではあるが,意外にもそれをとりまく政治状況に大きなスポットライトを照射し,
当時の大蔵大臣・井上準之助の苦悩を好敵手高橋是清と対比し,描いている。
結果論では愚かな政策としかいえないが,当時の財界・銀行界では金解禁を待望し,
その後の継続を支持する声が多く,当時の不況も『しばらく我慢すれば陽が差してくる』と
分析されていたらしい。大変意外である。
この方面では,城山三郎著の『男子の本懐』というベストセラーもあるからか,浜口首相
と井上蔵相の金解禁政策の高評価に比べ,高橋の金本位制離脱と積極財政は民間の
評判が悪く,日銀関係者の評価も少ない。
本書は,井上蔵相の政治的野心にも触れながら,英国の金本位制離脱表明後なぜ
日本の金本位離脱までの遅れが生じたかを,様々な政治情勢や社会情勢との関連を示し
ながら,まるで現在の『決められない政府』のことのように鮮やかに描いている。現在の
平成不況からの脱出の始まりにも関連して,一国民としてもぜひ読んでもらいたい。