完訳フロイス日本史〈1〉将軍義輝の最期および自由都市堺―織田信長篇(1) (中公文庫) の感想

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タイトル完訳フロイス日本史〈1〉将軍義輝の最期および自由都市堺―織田信長篇(1) (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者ルイス フロイス
販売元中央公論新社
JANコード9784122035782
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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フロイスの『日本史』とあるが、これはフロイスの書いた16世紀後半の『イエズス会日本布教史』である。当時の日本の歴史を叙述することが目的ではなく、日本という異国にたどり着いたイエズス会の宣教師たちが幾多の苦難を克服しながら、戦国日本にキリスト教を広めていった過程を情熱をもって描写した、文庫本で350頁X12巻の稀有の大著である。フロイス自身が1563年から1583年まで20年間司祭として京都周辺の布教活動の中心的存在であったが、この『布教史』はポルトガル国王の『ポルトガル領東インド史』の編纂の一部として1983年にイエズス会本部がフロイスに命じて執筆させたものである。フロイスは司祭職を退いて、それから約10年をかけて、日本布教にあたった司祭の立場からこの大著を書き上げた。
 キリスト教布教史であるので、すべては、如何に布教するか、如何に布教させるか、それはどういう困難に突き当たったか、如何にして苦難を乗り切り布教を成功させていったか、といった観点から書かれている。イエズス会の布教の戦略は、内裏(天皇と朝廷)、足利将軍、戦国日本全体の支配に成功してゆく織田信長や豊臣秀吉、各地で勢力を持つ戦国大名といった日本の国家のトップに位置する人々に直接アプローチし、その認可と庇護を受けて布教を広めるということであったので、イエズス会の司祭たちは自然に、当時の日本を支配する権力者とじかに交流することになった。伴天連という異国人であるがゆえに迫害を受けたことも多々あるが、他方で、異国人であるがゆえにそういう支配者とじかに接触することも可能となった。日本人では絶対に不可能であったことが彼らには可能だった。そして、そういう支配者とじかに接すれば日本の国の動きも手に取るようによくわかる。これが、『布教史』でありながら、当時の日本国家の動き、トップの人々の動きや考え方まで描写できた、見事なそして稀有の貴重な「日本史」ともなった理由である。

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