保科正之の生涯 名君の碑 (文春文庫) の感想

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タイトル保科正之の生涯 名君の碑 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者中村 彰彦
販売元文藝春秋
JANコード9784167567057
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

たくさんのレビューが寄せられているので、いまさらですが、「読んで損なし、買って損なし、時代小説の名作」と断言できます。

保科正之は、江戸幕府草創期の功臣の一人で、徳川家光、家綱の3人に使えて老中格。
でも、その出自は家光の異母弟で、本来もう一人の弟・忠長同様徳川姓を名乗り、50,60万石の大身になるべき人物。
それが、秀忠の正室・江与の方の執拗ないやがらせ・生命の危険もあり、小身の譜代大名である信州・保科家の養子となって成長。

でも、その逆境とも言える少年・青年時代こそが、彼が後年巨星となって幕府・会津の民・全国の大名や民衆に仁慈政治を行う礎になったんですよね。

江与の方の魔手から必死に守ってくれた実母・お静の方、立場の定まらない彼に愛情を注いでくれた武田の遺姫・信松尼と見性院姉妹。
彼の優れた資質を見抜き、実の父親以上に訓育してくれた養父・保科正光、その一族で家老の正近。
わがままな性格はあったかも知れないが、正之に対しては、優しく「表の世界に出るべく支援しよう」と引き受けてくれた兄・忠長。
そして、影日向見守り、その誠実な人柄、リーダーとしての英邁さを見抜いて引き上げた三代将軍・家光。

正之の優れた資質、それと裏腹な謙虚さが、人々をそうさせてやまないんだと感じました。

「殉死の禁止」「残虐な刑罰の廃止」「末期養子の解禁による浪人の減少」「年金制度創設」「救恤米の備蓄」「振袖家事からの復旧を陣頭指揮」「玉川上水開削の主導」等々、彼の導いた数々の政策は、今にしてみても驚くべきもののオンパレード。
その根底にあるのは、お世話になった方々からもらった厚情・愛情からくるあふれるばかりの優しさだと思います。

そんな民からも、家臣たちからも、幕閣からも、将軍からも、誰からも慕われる彼も、肉親やお世話になった方々の度重なる死に見舞われ、読むのが辛いくらいです。
英邁な彼を生み常に支えてくれたお静の方は、正之の正室にも会うことなく、ひっそりと信州で亡くなる。
彼を支えてくれていると思っていた継室・おまんの方の裏切りによる実の娘の毒殺。

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