中世社会と現代 (日本史リブレット) の感想
参照データ
タイトル | 中世社会と現代 (日本史リブレット) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 五味 文彦 |
販売元 | 山川出版社 |
JANコード | 9784634543300 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
平安末期には武士団の組織化が進み、西日本一帯では海賊も跋扈するのみならず、
東国支配はつねに緩みがちな課題でありましたが、
すでに8世紀初期における古代律令制の段階で、土地制度の綻びは顕在化していたこともあり、
中世への史的転回は宿されていた、ともいえましょうか。
その意味で本書は、まずは中世社会を現代社会へのアクチャリティと捉えることから始め、
逆にそうした視点で以て中世史を跡づけているようです。
結局、その数百年後、外圧を伴う形で近代化という新たな課題が到来するまでの間、
荘園制に則った守護地頭制、ひきつづく守護領国制と、
割と強固に確立していった公武二元的統治システム(※例えば、下地中分など)に根ざした、
諸制度に社会が覆われてゆく過程と、その意義について本書は分野ごとに丁寧、コンパクトに扱っており、
中世入門として好感される内容です。
また、現代との関連づけという点で多少弱い感じもしますが、
それはむしろあいだに近代を挟んでいるためもあるからでしょうか、とりあえず中世に軸足を据え、
そうしたまなざしの一部をなるべく具体的に現代にも分配してゆこうという感じもします。
因みに、中世理解の比較的重要な史料として絵巻物その他書き物もあるので、
「絵巻物でひもとく中世」と銘打った各種文献なども、おすすめです。
東国支配はつねに緩みがちな課題でありましたが、
すでに8世紀初期における古代律令制の段階で、土地制度の綻びは顕在化していたこともあり、
中世への史的転回は宿されていた、ともいえましょうか。
その意味で本書は、まずは中世社会を現代社会へのアクチャリティと捉えることから始め、
逆にそうした視点で以て中世史を跡づけているようです。
結局、その数百年後、外圧を伴う形で近代化という新たな課題が到来するまでの間、
荘園制に則った守護地頭制、ひきつづく守護領国制と、
割と強固に確立していった公武二元的統治システム(※例えば、下地中分など)に根ざした、
諸制度に社会が覆われてゆく過程と、その意義について本書は分野ごとに丁寧、コンパクトに扱っており、
中世入門として好感される内容です。
また、現代との関連づけという点で多少弱い感じもしますが、
それはむしろあいだに近代を挟んでいるためもあるからでしょうか、とりあえず中世に軸足を据え、
そうしたまなざしの一部をなるべく具体的に現代にも分配してゆこうという感じもします。
因みに、中世理解の比較的重要な史料として絵巻物その他書き物もあるので、
「絵巻物でひもとく中世」と銘打った各種文献なども、おすすめです。