新訳 リチャード三世 (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトル新訳 リチャード三世 (角川文庫)
発売日2012-10-01
製作者シェイクスピア
販売元KADOKAWA
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » イギリス・アメリカ

購入者の感想

バラ戦争はヨーク家が勝ち、「このヨークの太陽輝く栄光の夏」が訪れました。ヨ
ーク家の面々が浮かれ騒ぐなか、みっともない容姿のグロスター公リチャードは独
白します。
  恋の花咲くはずもないこの俺は、
  もはや、悪党になるしかない。
  世の中のくだらぬ喜び一切を憎悪してやる。
  筋書きはとっくにできている

色恋とは縁のないはずのリチャードですが、「悪魔の心とおためごかしの顔」とい
う強い味方がいる。ランカスター家最後の王ヘンリー六世の柩に付き添った喪主ア
ン・ネヴィルを臆面もなく口説き落としたのを手始めに、クラレンス、二人の甥ら
王位継承権者はもとより邪魔者を次々に殺し、ついに王位に就きますが、やがてリ
ッチモンド伯ヘンリー・チューダー(のちのヘンリー七世)とボズワースの平原で
対戦、「人間業とは思えぬ驚くべき戦いぶり」を見せたものの馬を失い、「馬だ!
馬だ! 王国をくれてやるから馬をよこせ」と叫びながら討ち取られました。

シェイクスピアの戯曲はほとんど韻文で書かれています。英語で聞くととても響き
がよく、気持ちがいい。河合祥一郎の翻訳は、引きしまったきびきびした口調が気
持ちよい。たとえばリッチモンドの最後のセリフ。
  親が見境なくわが子を殺し
  息子が余儀なく父親を虐殺した。
  それゆえヨークとランカスターが引き裂かれ、
  おぞましき対立を生んだのだ。
     ・・・・・
  今や内乱の傷口は止まり、平和が蘇った。
  神もご唱和くださいませ、平和万歳と!

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