キングダム 46 (ヤングジャンプコミックス) の感想

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参照データ

タイトルキングダム 46 (ヤングジャンプコミックス)
発売日2017-04-19
製作者原 泰久
販売元集英社
JANコード9784088906225
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

迷人随筆  星5  形式:コミック Amazonで購入

 シニア世代のカスタマーレビュー。最近は若者向けのコミックをあまり読まなくなったが、始皇帝の中国統一物語にはたいへん興味があるので、近々映画にもなる話題のキングダムをアマゾンで買ってみた。

 届いたのはコミック版の46巻。若い時に読んだマンガや劇画などの画法とは少し異なり、登場人物の男女の容貌が(慣れるまで)紛らわしかったが、作者の創造力に富んだストリーの展開が非常に面白い。当時の衣装、武具、建築物、戦闘場面なども画像的にみられるので臨場感があって楽しい。

 始皇帝といえば、長期にわたりその補佐役として秦の六国制覇を実現させた李斯の存在を見逃すことはできない。本46巻では、その李斯がまた登場しているが、「法の番人」と化して獄中の人となっているのは何とも皮肉。というのも、(『史記』の「老子・韓非列伝」によると)、性悪説で有名な荀子のもとで共に学んだ韓非を牢に送って服毒自殺を強要したのが李斯本人であるからだ。

 李斯は荀子のもとで儒学を学んだわりには倫理観に欠けている。だが、常に向上心があり、出世欲も異常なほどに強い李斯というこの人物は、本巻で活躍する信や李牧以上に魅力的なキングダムの人材になりうる。同門の韓非によって完成した「法家理論の実務者」として、政を助け、秦の六国制覇を成し遂げた李斯のキングダムでの活躍をこれから期待したい。

 それを予感するように、本巻45頁に「李斯殿は政治の手段も尋常にあらず。これから必ず李斯殿の力は必要となってきます」という画面があるが、米国の史学者ダーク・ボッデは、その書 “China’s First Unifier”(邦訳:『李斯の生涯から見た秦王朝の興亡』)において、「始皇帝のように迷信的で最も信じやすい統治者が、自分だけの判断でその偉業をすべて行ったのであろうかと」問いただしながら、「中国統一第一の功績はむしろ始皇帝ではなく李斯に帰するべきもの」と、いみじくも書いているのは卓見である。

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