アンの想い出の日々〈下〉 赤毛のアン・シリーズ 11 (新潮文庫) の感想

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最近、十数年ぶりにアンの物語を読み返し、すこしも古びない内容に感激しました。さらに若い頃には感じなかった、気付かなかったことも多く発見しました。そのなかでとくに異質に感じたのは「アンの娘リラ」でした。それぞれ苦悩しつつも結果としてアンの家族は「正義の戦争」に全面的に協力したこと。息子たちは負傷したり「名誉の」戦死をするが、それは未来の為の尊い犠牲だと。初めて読んだとき、私も他の多くの少女と同様に、ハンサムな詩人ウォルターに恋をし、その死に涙したのを思い出しましたが、この後すぐ第二次世界大戦が始まりさらに暗黒の日々が続くことを知っている私は、このままアンの物語が終わってしまうことに違和感を感じたのです。そして「アンの想い出の日々」完全版がごく最近出版されていたことを知りました。
読んでよかったです。
モンゴメリの深く激しい思いが心にしみてきます。ルーシーは、アンの物語を深く愛してもいたし、憎んでもいたのだと思います。苦悩のなかで、最後にすべてをそそぎこんでこの本をまとめあげたのではないでしょうか。
挿入されている短編は、どれも彼女のロマンティストさを失わない本質と、鋭い人間観察眼とがあふれています。