ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること 「すごい会社」の見つけ方 (幻冬舎新書) の感想

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年間900回以上、上場企業の経営者やＩＲ担当者と面談を行ってきた筆者が、どうやってすごい成長企業を見つけるか、解説している。100円ショップ・寿司ロボット・ブライダル・インターネットサービスなど、身近な実例がたくさん示されていて、わかりやすい。調査しながら考えた頭の中をありのままにさらけ出し、シンプルでストレートな言葉を使っているので、とても読みやすい。
筆者は、割安に放置されている企業を調査し、その中から、将来株価が大化けする可能性のある会社を見つけて投資することを得意としてきた。最初から、成長株と期待されて人気化しているテーマ株に懐疑的だ。最初は成長株と考えられていなかった企業が、どこで成長企業となるターニングポイントを超えたか、実例に基づいて解説している。
この本を読んでいて面白いのは、筆者がすごい企業を見つけた話だけでなく、たくさんのダメ企業に出会った話も出ていることだ。筆者はすごい企業を見つける調査の過程で、たくさんのダメ企業も見てきた。グーグルに隷属している企業はだめ、過去の失敗を語らない企業はだめなど、ダメ企業を見分ける方法も述べている。将来が危惧される不動産業界の５つの類型は、大変参考になる。

当方、機関投資家の者です。

苦瓜氏が在籍されている会社は、日本株の運用実績の高さで業界内で有名ですが、その中でも特に苦瓜氏は機関投資家(銀行、生保、企業年金)として日本株のファンドを選定する場合にその名を知らずにファンド選定をすることができないくらい、業界内では有名かつ実績を残されている日本株のファンドマネージャーです。

内容的にはWeb上のインタビュー等で本人が話されている内容に加え、銘柄選定にあたり参考にしている媒体、財務指標、面談時のヒアリング項目等を含んでいます。手書きのメモの写真まで公開していますので、なかなか具体的な内容でした。

日本株ファンド選定をしているなかで当方が感じるのは、当たり前のことですが運用会社やファンドマネージャーによって成績が大きく異なるということです。単年でトラックがあっても継続的に実績を残しているファンドはそう多くはありません。

運用会社自体が大きければ成績が良いということでもないため、 ファンド選定にあたっては過去のトラックレコードだけではなく、ファンドマネージャーの情報や運用会社としての外部評価を稟議にかけます。その意味でこういった書籍が増えることは機関投資家サイドからすると、定性面で一定の参考になるため、名物ファンドマネージャーがこういった書籍を出版する流れが生まれれば良いと思います。

個人投資家が日本株に注目するきっかけにもなるとおもいますので。