アフター・ビットコイン―仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者― の感想

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タイトルアフター・ビットコイン―仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者―
発売日2017-11-10
製作者中島真志
販売元新潮社
JANコード登録されていません
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 著者の中島真志氏は、日銀勤務時代に国際決済銀行(BIS)に出向し、決済に関するグローバルなルール作りに携わった経験を持つ、わが国における決済分野の有識者である。本書はビットコイン関連の本ではあるが、著者は、ビットコインそのものに関しては、もはや通貨ではなく「投資商品」であり、仮想通貨としての将来性を否定的に捉える一方、ビットコインの中核技術として開発された「ブロックチェーン」(分散型台帳技術)については、各国の中央銀行がこの技術を使ってデジタル通貨の発行を模索し始めたり、国際送金や証券決済などに応用できる可能性もあり、高く評価する。本書は、ブロックチェーンの技術的な内容や、今後の応用方法・将来性についてを解説したものである。
 ブロックチェーンは、取引記録を鎖のようにつなげて管理する仕組みで、ネットワーク内の参加者が各自持っている帳簿を同時に書き換えることで、すべての取引履歴を記録する仕組みだ。従来の、中央データベースを使った集中的な管理方法とは異なる技術を使うことにより、各ユーザーが分散して管理することができ、結果金融取引を劇的に低いコストで、リアルタイムに行うことが可能になると期待されている。
 本書では、ブロックチェーンの技術的な仕組みが解説されるが、込み入った内容には深入りしていないため、概要を理解しやすい。また、ブロックチェーン技術の有望な利用方法として国際送金があげられるが、仮想通貨を「ブリッジ通貨」として利用することで、従来の送金方法に比べ大幅なコスト削減が可能になるだろうことは、かなり画期的であると感じた。
 最近では先物取引がスタートし、昨今ではバブルの様相を呈してきているビットコイン。そのビットコインの中核技術であるブロックチェーンに着目して解説した、旬な良書である。

ビットコインはバブルであると主張して、リップルなどの国際送金システムを称揚する本

だがビットコイン批判の内容は残念ながら素人をだます程度のものでしかない。
以下検討しておく。

1.「上位1%未満の人が全体の9割のビットコインを保有している」

著者はビットコインの保有コイン数が1パーセントのアドレスに集中していることを上げて、「少数の人が大部分のビットコインを保有している」などと言っている。
だが、日常的に送金せず、取引所で取引する人の数の多さを考えれば、取引所が自身のアドレスに残高をとりまとめていると考えるのが自然だろう。取引所へはユーザーごとに受信用アドレスが用意されるが、その後は取引所がいくつかの別アドレスにまとめて保管しており、送金はそこから行われる。

たとえば、以下のアドレスの保有ビットコイン数を検索してみてほしい
1P9RQEr2XeE3PEb44ZE35sfZRRW1JHU8qx

これを書いている時点で2,238BTC(10億円!)もの残高があるが、これはコインチェックという取引所の残高である。
取引所の残高はユーザーからの出金要請があれば出ていくものなので、コインチェックの自由にできる財産ではない。預けている、というのが正確だ。
著者はビットコインウォレットのアクティブユーザー数は10万人程度にすぎない、と推測しているが、現在、国内だけでも取引所の利用者数は100万人を超えており、全世界では数千万人規模になるはずで、かなりの数が取引所のアドレスに集中していると考えられる。

つまり多数の人が少数のアドレスに預けているだけなのではないか。

仮想通貨の先行者利益が大きいことまでは否定できないが、著者の判断は早計である。

2.マイニングプールの大半が中国に集中している

それはそうだが、マイニングプールは外国からでも接続可能なので、プールが中国にあるからと言って必ずしも中国人だけがマイニングしているわけではないことは注意。実際、日本でマイニングしようとしたら海外のプールに接続する以外にほとんど選択肢はない。

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