マイケル・ハンプトンの人体の描き方: 躍動感をとらえるアナトミーとデザイン の感想

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参照データ

タイトルマイケル・ハンプトンの人体の描き方: 躍動感をとらえるアナトミーとデザイン
発売日2016-08-20
製作者マイケル・ハンプトン
販売元ボーンデジタル
JANコード9784862463425
カテゴリジャンル別 » アート・建築・デザイン » 絵画 » デッサン

購入者の感想

押しも押されもせぬ実力派なのは一目瞭然だが、ディフォルメのセンスはちょっとクセが強いかもしれない。
全体的にお肉のダブついた洋梨体型。なのに胴体はやたら誇らしげに反り返り、「少年のように溌剌とした中年」とでも言うべき、やや違和感を感じさせる造形センスに思う。
デッサン的にも、部品を寄せ集めたかのような生硬さを感じさせ、生物体としてのエレガンスに欠ける傾向。・・・副題の「躍動感」というものはあまり感じられず、むしろどっしり「静的な量感」を持ち味とする作家ではないだろうか。

長所は、時に数色のカラーも用いたりして、筋肉の重なり具合や繋がりのフローなどが分かりやすくディフォルメ・図示されている点で、この手腕には並々ならぬセンスを感じる。
いやはや、これは本当に目を見張る部分で、個人的にこれほど分かり易いガイダンスには、お目にかかったことがないかもしれない。

ただし、どの項目も作例のボリュームがもう一押しも二押しも足りない尻切れトンボ的構成のため、けっきょく部位ごとの構造が、掴めそうで掴めないのがもどかしい。
なにせ比較的大きなカットで余白をリッチに余らせ気味な上、あまり有意義とは言い難いラフスケッチなどページの無駄遣いも多く、実用的なカット数が不足しているのだ。・・・これじゃ、よほど勘のいい人でないと理解が追いついていかないだろう。
ここは取捨選別をしっかりやって、構造把握に集中特化した作例をもっとヴァリエーション豊富に詰め込んでおくべきだったと思う。

高品質かつユニークなガイダンスには違いないので、サブ的な一冊・ヒント集として見れば、けして悪い内容ではなく、むしろ良書の部類かもしれない。
だがこれに4000円というのはコスパが悪すぎるように思う。

かえすがえす悔やまれるのは、もっと「著者の長所やカラー刷りを活かしたカット」=「筋肉構造を分かりやすく整理・ディフォルメした図版」を集約的に収録して欲しかったなぁ、という点に尽きる。
うまくすれば★5ではきかないぐらいの"神本"になった可能性を感じるだけに、この総花的で虻蜂取らずな編集方針は痛恨であった。

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