イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45 の感想

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参照データ

タイトルイワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45
発売日販売日未定
製作者キャサリン メリデール
販売元白水社
JANコード9784560082119
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

購入者の感想

「イワン」とは、ソ連軍兵士を例えたもの。第二次世界大戦、独ソ戦で戦った兵士たちの物語。
著者はイギリス人女性で、当時のソ連軍兵士たちへの聞き取りにより、彼らがどのように戦ったのか、体験などがつづられている。
ソ連軍の特徴として、懲罰部隊や、NKVD(KGBの前身)、ポリトルク(政治将校)の兵士たちへの残虐さが際立っている。
独ソ戦は、ナチスにとって殲滅戦だった。ソ連邦の市民(ボルシェビキ)を殺戮するのが戦争の目的だったとされる。ドイツ軍に投降した兵士たちは簡単に射殺されたりした。ソ連軍にいても兵士たちは悲惨だった。無駄な突撃を課せられ、死体が山のようになり放置された。部隊を離脱する兵士も多かった。ソ連は市民を含め、2700万人の死者が出たという。うち800万人がソ連軍兵士である。(アメリカ軍・イギリス軍等合わせての戦死者は50万人程度である。)ソ連軍の夥しい犠牲のうえで、連合国が勝利したことがうかがえる。

スターリングラード戦以降、ドイツ軍の進撃が斜陽となり、いよいよベルリンへ向けて進撃の気運が見られても、兵士たちの境遇には変わりはない。
ポーランド、ドイツ・・と進撃するにつれ、兵士たちが目にしたのは、母国よりも豊かな西側資本主義の世界だった。
彼らは、激怒する。これだけ豊かなのに、なぜドイツ人は戦争を始めたのだろうか・・・と。
ソ連軍兵士たちの、ドイツ人女性への暴行、レイプなど、占領地市民への「リベラルな行為」が語られている。

ポーランドのドイツ側占領地は複雑である。ナチスに占領され、ソ連に占領された。ワルシャワ蜂起を敢えて助けない残酷さ。
赤軍は解放軍ではなかった。ベルリン占領、そして戦争が終了し、アメリカ軍やイギリス軍などと親交を深めるソ連兵たち。西側世界は悲惨であると教育を受けていたにも関わらず、現実を間に当たりにして、戦勝の祝杯気分から、母国の現実へと眼を向けるようになってしまう。帰還の際、彼らは誓約書を書かされ、戦争について語る事に制約を受けることになる。
スターリンの失策は伏せられ、記念式典が白々しく行われる。

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