日本人はどこから来たのか? の感想
参照データ
タイトル | 日本人はどこから来たのか? |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 海部陽介 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784163904108 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » サル・人類学 |
購入者の感想
本書の致命的な瑕疵は「核DNA」の解析結果を無視していることです。
縄文人の核DNA解析結果は、本書が出版される約一年前の2015年3月にすでに公表されています。
しかるに、本書で縄文人の核DNA解析結果にまったく触れられていないのは異常です。
そのため著者が本書などで主張する「新しい学説」(11頁)は成立する以前に破綻しています。
真面な研究者なら真っ先に飛びついて検証すべき縄文人の核DNA解析結果だったのですが、
著者が知らなかったとしても学者にあるまじき怠慢であり、
もし知っていて隠蔽したのであれば学者失格の詐欺的行為です。
≪ミトコンドリアDNAは細胞内のDNAのごく一部でしかないので、
北海道縄文人のミトコンドリアDNAタイプがほとんど北方系だったとしても、
そのデータだけで移動した集団の規模が大きかったとは言い切れない。
この課題を最終的に解決するには、細胞内にあるDNA全体(核DNA)の分析を待たなければならないのである≫(182頁)
この記述を信じるなら著者は解析結果を知らなかった怠慢な学者ということになります。
厳密には核DNAが解析されたのは本州縄文人ですが、縄文人の核DNAが解析されたという重要度に変わりはありません。
著者は「はじめに」で、
≪本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究という重層的なこの10年の研究で浮かび上がってきた、
人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である≫(7頁)と書いていますが、
まったく「重層的」でも「新しい仮説」でもありません。
まず、DNA分析の比較研究が不十分です。
DNAによる比較対象となる指標は「ミトコンドリアDNA」(mtDNA)だけではありません。
遺伝子の比較には「mtDNA」以外にも「Y-DNA」「免疫グロブリン」そして前述の「核DNA」がメジャーであり、
ルーツを考える場合はそれらすべてを総合的に考慮する必要があります。
縄文人の核DNA解析結果は、本書が出版される約一年前の2015年3月にすでに公表されています。
しかるに、本書で縄文人の核DNA解析結果にまったく触れられていないのは異常です。
そのため著者が本書などで主張する「新しい学説」(11頁)は成立する以前に破綻しています。
真面な研究者なら真っ先に飛びついて検証すべき縄文人の核DNA解析結果だったのですが、
著者が知らなかったとしても学者にあるまじき怠慢であり、
もし知っていて隠蔽したのであれば学者失格の詐欺的行為です。
≪ミトコンドリアDNAは細胞内のDNAのごく一部でしかないので、
北海道縄文人のミトコンドリアDNAタイプがほとんど北方系だったとしても、
そのデータだけで移動した集団の規模が大きかったとは言い切れない。
この課題を最終的に解決するには、細胞内にあるDNA全体(核DNA)の分析を待たなければならないのである≫(182頁)
この記述を信じるなら著者は解析結果を知らなかった怠慢な学者ということになります。
厳密には核DNAが解析されたのは本州縄文人ですが、縄文人の核DNAが解析されたという重要度に変わりはありません。
著者は「はじめに」で、
≪本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究という重層的なこの10年の研究で浮かび上がってきた、
人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である≫(7頁)と書いていますが、
まったく「重層的」でも「新しい仮説」でもありません。
まず、DNA分析の比較研究が不十分です。
DNAによる比較対象となる指標は「ミトコンドリアDNA」(mtDNA)だけではありません。
遺伝子の比較には「mtDNA」以外にも「Y-DNA」「免疫グロブリン」そして前述の「核DNA」がメジャーであり、
ルーツを考える場合はそれらすべてを総合的に考慮する必要があります。