MILLION MIRRORS の感想

はるか以前から知ってはいましたが、ふとした拍子に今更出逢ってしまいました。
この時代を生で聴けた人が心からうらやましいと思います。
26年経った今聴いている私が古さを感じないという驚異的な完成度。
メンバー個々の個性が花開く感じを凄く満々とさせている内容でもあり、全作をあさって聴き比べるとひときわ野心的に聞こえて来る気がします。
でも、入りはここからよりベストヒット作？のINCUBATEか時代が飛んでラストアルバムのMENOPAUSEの方がいいのかもと思うとっつきづらさもある気がします。

不世出のコンポーザーにして時代を先取りしたパフォーマー・森岡賢氏よ永遠に。

ＶＩＥＴＮＡＭに感動しました。
曲の中盤でほんの一瞬だけ美しいオーケストレーションが
挿入されるのですが、それがたちまちヘリコプターの轟音で
かき消され、曲は再びノイズの海に飲み込まれてしまいます。
一瞬の内に崩壊する美、永続性や普遍性を許さない美に対する
藤井麻輝氏の感覚は三島由紀夫氏の美に対する破壊衝動に
酷似しているような印象を受けました。
その他にも月夜の荒城をイメージするような
怪しい曲が多数盛り込まれていますが、このアルバムは
森岡氏と遠藤氏が全面的にバックアップして藤井ワールドを
完全な形で展開させたような印象を受けました。

エレクトロミュージックとしての完成度は２１世紀になってもこれを超える作品は少ない。これをメジャーシーンで発売したことに敬意を表したい。

ほんと凄いクオリティーの作品。