ティンブクトゥ (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルティンブクトゥ (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者ポール オースター
販売元新潮社
JANコード9784102451137
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

声に出して読んでみるとよくわかるのですが、
日本語のリズムに無理がなくて、耳にものどにも心地よい。
柴田さんの和語のセンスのよさが感じられます。

物語は、冴えない男とそのペットの犬との
まったくとりとめもない話なのだと言ってしまえばそれまでです。

でも、毒にも薬にもならないということは、
呼吸をするのと同じくらい、そこにあることが自然だということ。
すっかり自分の生活の一部になっているということ。

それは犬のみならず、何か生き物を飼ったことのあるひとなら、
わかってもらえる感覚だと思います。

生き物を愛する、愛される。
お互いにそんな関係でいられたらいいのに。
年を取るのも死ぬときも、いっしょだったらもっといいのに。

 行き倒れになったウィリーは病院で高校時代の恩師、ミセス・スワンソンと再会を果たすのですが、その様子を、なぜか「ハエ」になって天井から見下ろすミスター・ホーンズの視線が素晴らしい。ここのジャンプ感は最高。ふたりの会話がいいんですよね。道中、ウィリーからからミセス・スワンソンの聡明さを聞かされていたミスター・ホーンズは、30年ぶりに見る教え子が病院に担ぎ込まれた姿を見た時の反応に仰天します。ミセス・スワンソンは気丈にもこう云うんですな。

《「参ったわねぇ、ウィリアム」と彼女は言った。「あんた、人生滅茶苦茶にしちゃったみたいね」""Jesus Christ, Willam," she said. "You’ve sure made a mess of things, haven’t you?"》

実は、ペイパーバック版では読んでいたんですが、この日本語訳は素晴らしいですね。さすが柴田さん。とにかく、日本語版のp.83-からの会話は素晴らしすぎ。もし、アメリカに、どこか、まだ憧れがあるとすれば、こうした女性がローカルな街に本当にいるかもしれない、と思うからなんじゃないのかな、なんて思いながら読んでいました。

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