世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)
発売日2017-07-21
製作者山口 周
販売元光文社
JANコード登録されていません
カテゴリ »  » ジャンル別

購入者の感想

本書の趣旨を捉えきれていないかもしれないが、本書をこれまで世に出されたビジネス書やその他の書籍と同じと捉えてしまっては、非常に勿体無いとおもいます。
人は、年齢を重ねる毎に、経験が増し、知識が増える。
すると、本書で説明されている「パターン認識」によって、見聞きしたものを瞬時に過去のパターンと結びつけてしまい、深い観察、それ以上読み進めてみよう、見続けてみようという考えが消失してしまう。
よく、アマゾンレビューのような個人の感想の中にも、「よくある○○本」、「どこかで聞いた事のあるような内容」などといった文言が見られるが、確かにそのような本も一部にはあると思うが、もしかしたら、このようなレビューを書いてしまった人々は、自分の中のパターン認識に気付いていないのかもしれない。読書中にパターン認識が起こり、そこで集中力と観察力が途切れてしまい、自ら学びの機会を失っているかもしれない。
時に、本は何度も読み返した方が良いという意見を耳にするが、この効用はパターン認識から解放される一つの手段なのかもしれない。2度目、3度目と読むうちに、新しい観察と考察が浮かぶのは、パターン認識が一時的に解放された瞬間なのかもしれない。

美意識を形作る一つの要素に、この観察という能力がある。
ビジネスにおいて美意識の必要性、鍛え方、そしてこれまで美意識という数値化できないものが、何故評価されてこなかったのか等、非常に新鮮で、分かりやすく説明されている。

またしても著者の鋭い洞察にうならされました。今回は「美意識」という一見ビジネスとは無関係なコンセプトがテーマです。しかしながら、東芝や電通といった伝統的大企業からDeNAといった新興企業まで、繰り返されるコンプライアンス違反に通低するのが経営者の美意識の欠如であると著者は言います。

本書で言うサイエンスとは論理、アートとは感性です。クラフトというのも登場しますが、これは経験値とすると分かりやすいと思いました。複雑化する現代のビジネス環境においてはサイエンス重視の意思決定では効果が限られており、個々人が内在的に持つ美意識や善悪の基準に重きを置く必要があるという主張です。ただ、著者も念押ししているように、サイエンスを無視していいわけではなく、サイエンスあってのアートであり、過剰なまでのサイエンス偏重を正すべきということです。確かに、もし経営における意思決定がすべからく論理的かつ理性的なら、それこそ人工知能にやらせればいいわけです(実際、韓国ではそのような動きが出ています)。しかし、人を動かすのは無味乾燥な論理ではなく、血の通った人間性です。自分自身の仕事ぶりを振り返ってみても、本当にうまくいった仕事というのはひらめきに導かれたものが多かったように思います。自身のアートをもっと信頼していいんだと思えたことが、本書から得られた最大の喜びです。それには真っ当なアートを内在的に持っていることが条件ではありますが、そのアートの鍛え方についてはもっと述べて欲しかったところです。

印象に残った点
・多くの人が分析的・論理的な情報処理スキルを身につけた結果、「正解のコモディティ化」が発生
・歴史を振り返れば、過去の優れた意思決定の多くは感性や直感に基づいてなされていることが多い(ソニーのウォークマン、アップルのiMacなど)
・これまで日本企業は「人と同じ答え」をより早く、より安く市場に提供することで勝ち残ってきた。この2つの強みが失われた今、日本企業は歴史上はじめて本当の意味での差別化を求められている

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)

アマゾンで購入する
光文社から発売された山口 周の世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)(JAN:登録されていません)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.