「地政学」は殺傷力のある武器である。 の感想

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タイトル「地政学」は殺傷力のある武器である。
発売日販売日未定
製作者兵頭 二十八
販売元徳間書店
JANコード9784198641238
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購入者の感想

地政学が武器だというタイトルにひかれて買ってみました。どうやらこの著者は近い将来日本と中国が戦争すると予測しているようです。確かに今の状況を考えればその可能性は非常に高いと思います。ただその時アメリカが何も出来ないので日本が単独で戦うことになるという考えは余りにも悲観的だと思います。ベトナムでの敗北以来アメリカが東アジアでの戦争に関わりたがらないようになっているのは事実ですし、最近アメリカが合衆国ではなく分断国と呼ばれるほど社会に亀裂が走っているのも周知の事実です。だからと言ってアメリカが黙って中国に東アジアの覇権をゆずるとはとても思えません。少なくとも私は日米同盟を強化しつつ台湾・インド・EUなどと連携して和戦両様の構えで中国と対決して行けば良いと思います。何にしてもこの本は万人向けではありません。
購入する人は良く考えてから買って下さいね。

 平成の軍学者・兵頭の戦略認識がいかに卓抜しているかの片鱗は、以下の記述に見られる。
 シベリア出兵を愚策と一刀両断である。出兵を画策し推進した参謀本部次長・田中義一。満鉄の後背地であるシベリア鉄道の帰趨を憂慮する初代満鉄総裁であった外相・後藤新平ら。山縣のそれは、臨時外交調査会での発言であったかどうかは不明だが、原敬日記に、シベリア出兵の可否を原が山縣に尋ねたところ、北樺太なら、そして、そこには石油がある、と応えたとあるのを、兵頭は引用する。
 兵頭は、イルクーツクくんだりまで日本軍を行かせたのは、何の益なし、北樺太に白系ロシア人の傀儡政権を建てて、占拠支配してしまう布石をしていたら、米国からの石油禁輸で追い詰められていた昭和の日米開戦もなかった、という。
 山縣の戦略発想に原がどう考えていたかは不明だが、実際の経緯では、この山縣の意向がほとんど顧みられていない。シベリア出兵に関する古典ともいえる細谷千博の『シベリア出兵の史的研究』にも紹介されていなかったような。ここは、記憶は定かではないが。
 わたしは、山縣がそこまで考えていたのなら、なぜ影響力を行使しなかったのかが不明である。すでに、田中への影響力に陰りが見えていたのかどうか。この山縣の発言からすると、高橋治の『派兵』史観もばかばかしいことになる。
 20年7月の北樺太保障占領は、3月から5月にかけての尼港事件(赤軍ゲリラによる日本人大量虐殺事件)への対抗手段であって、山縣の思惑とは関係があるように思えない。25年5月には日本軍の撤退が完了している。在留日本人ら2千名も引き上げている。
 兵頭の見解は、後知恵と見られやすいが、山縣の発言あって妥当な内容であろう。問題は、山縣の見識を共有する後進が参謀本部にいなかったのに帰結するのではないか。
 その他、兵頭の見方から学ぶものが多かった。最近、地政学を題名に入れた書物の刊行が多い。兵頭のこの書は抜きんでていて、他を顔色無い。それは、兵頭の見方は、常に日本から発しているからだ。それが地政学思考の基本条件であるにもかかわらず、他の地政学本には、その常識が反映していないのだ。

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