日本はなぜ脱原発できないのか: 「原子力村」という利権 (平凡社新書) の感想
参照データ
タイトル | 日本はなぜ脱原発できないのか: 「原子力村」という利権 (平凡社新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小森 敦司 |
販売元 | 平凡社 |
JANコード | 9784582858037 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題 |
購入者の感想
新聞などに発表した記事を再構成し、大幅に加筆したもの。その構造ゆえに、記述の視点がやや拡散しているのが惜しまれる。だが、本書はまさに次代に残すべき労作。中でも、2013年12月のエネルギー基本計画のパブリックコメント1万8711件をすべて読み込み、経済産業省が発表しなかった賛否を脱原発94.4%、原発維持・推進1.1%とたった1人で手作業で分類した苦労(第3章)には頭が下がる。分類をしなかったのは明らかに政府の手抜きであり、安倍政権は脱原発の空気の盛り上がりを恐れたのだろう。必読は第6章「買われたメディア」。電力会社によって、メディアやオピニオンリーダーたちがいかにして囲い込まれていったかを実名を上げて例示している。朝日新聞のOBも例外ではない。「原子力村」は電力会社、産業界、官僚、政治家、学者だけでなくメディアまでにも広がっている。その闇は深い。我々はその事実を知らなければならないと思う。