ノバク・ジョコビッチ伝 の感想

「ノバク・ジョコビッチ伝」とタイトルにある。
各方面、関係者への取材、家族や知人の証言から、
セルビアという複雑きわまりない国から生まれたヒーローの姿を忠実に描く。

ジョコビッチが若い頃は、コソボ紛争の中にいた。
絶えず続く空爆、国も貧しく遠征費用もままならない。
こういう、いわば劣悪な環境のなか、１２歳でドイツに留学してから、
彼の進化が始まる。
悔しいが、錦織とはモノが違う。テレビを観ていても、
とても勝てそうな気がしない。技術面だけでなく、自己管理力も凄いのだろう。
なんというか……背負っているモノが違う気がするのだ。
フェデラーやナダルと肩を並べていた時期もあったが、
いまはジョコビッチ一人勝ちだ。

単なる成功物語、評伝ではなく、ひとりの男の生き様も見えてくる良書。