判例から読み解く 職場のハラスメント 実務対応Q&A の感想

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　「マタハラ」を先頭に置いているのは、平成28年3月31日に公布された「雇用保険等の一部改正案」
を受けてのことだというのは、冒頭の"はしがき"からもわかります。

　掲載しているハラスメントとしては、マタニティーハラスメント、セクシャルハラスメント、パワー
ハラスメントがあり、1)事業主の措置義務や体制、２発生した時の対応方法、3)事例を挙げながら詳し
く説明してくれます。
　それぞれのハラスメントによって、少しニュアンスは異なるかもしれませんが、1)では、予防するた
めのトップのメッセージ、ルールを決める（就業規則など）、教育する、相談窓口の設置、再発防止
など。2)では、事実の調査（当事者双方からのヒアリング、齟齬がある場合には第3者のヒアリング）、
加害側の弁明を含めたその後の対処など。3)事例では、それぞれに「論点の解説」を付けてくれている
ので、出来事とその結果だけではわかりにくいところを補ってくれます。他にも安全配慮義務につい
ての裁判所の解釈「使用者は被用者との関係において、社会通念上伴う義務として被用者が労務に服す
る過程で生命および健康を害しないように職場環境等につき配慮すべき注意義務を負うが、そのほかに
も労務遂行に関して被用者の人格的尊厳を冒しその労務提供に重大な支障をきたす事由は発生すること
を防ぎ、またはこれに適切に対処して、職場が被用者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意
義務もあると解される」（福岡地判平成4年4月16日）などを挙げて、法の解釈を示してくれます。

　法律が絡む内容なので読みにくいと思っていましたが、大きな流れから具体的な事例の詳細まで含め
て丁寧に解説してくれているので、理解が進みます。しっかり勉強させてもらいまいました。