ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫) の感想
参照データ
タイトル | ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫) |
発売日 | 2017-06-15 |
製作者 | 大倉 崇裕 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062936743 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド |
購入者の感想
ペンギンは温暖な土地にも居る?ヤギは紙を食べない?サルの好物はバナナとは限らない?
そんな動物らへの思い込みがあっさり覆され,思わず「へぇ」となるシリーズの三作目です.
なお,冒頭にはこれまでを振り返るような語りも差し込まれ,ここからでも問題はありません.
まず,女性警官と元一課の鬼刑事のデコボココンビに信頼が増してきているのが伺え,
相変わらず会話は噛み合っていませんが,何度かあうんの呼吸も見られるなどなかなか.
特にコンビの存続問題が湧き起こる中,葛藤や嫉妬めいた言動すら見せる男の姿は意外で,
知ってか知らずか変わらぬ彼女と向き合い,互いの意思と感謝を伝え合う最後が印象的です.
とはいえ,『いきもの係』を良く思わない内側の敵,さらには男自身の抱える不安など,
このまま安泰とはいかなさそうで,ここにきて物語に広がりが出てきたように感じました.
ただ,ミステリの部分は,動物の習性や人間の思い込みを活かした謎や展開はもちろん,
容疑者との対峙には読み応えがある一方,唐突や雑に映る場面もあってそこは少し残念で,
このほか,一篇目と三篇目でいくつか『被る』点があるように見えたのも引っ掛かりました.
また,それまでとはタイトルも違う最後の篇は,アンソロジー集への提供作とのことも,
内容については駆け足の展開と併せて,物足りなさと蛇足感を抱くのは否めないところで,
本篇とも言える一つ前で閉じておいた方が,キレイにまとまっていたのではないでしょうか.
そんな動物らへの思い込みがあっさり覆され,思わず「へぇ」となるシリーズの三作目です.
なお,冒頭にはこれまでを振り返るような語りも差し込まれ,ここからでも問題はありません.
まず,女性警官と元一課の鬼刑事のデコボココンビに信頼が増してきているのが伺え,
相変わらず会話は噛み合っていませんが,何度かあうんの呼吸も見られるなどなかなか.
特にコンビの存続問題が湧き起こる中,葛藤や嫉妬めいた言動すら見せる男の姿は意外で,
知ってか知らずか変わらぬ彼女と向き合い,互いの意思と感謝を伝え合う最後が印象的です.
とはいえ,『いきもの係』を良く思わない内側の敵,さらには男自身の抱える不安など,
このまま安泰とはいかなさそうで,ここにきて物語に広がりが出てきたように感じました.
ただ,ミステリの部分は,動物の習性や人間の思い込みを活かした謎や展開はもちろん,
容疑者との対峙には読み応えがある一方,唐突や雑に映る場面もあってそこは少し残念で,
このほか,一篇目と三篇目でいくつか『被る』点があるように見えたのも引っ掛かりました.
また,それまでとはタイトルも違う最後の篇は,アンソロジー集への提供作とのことも,
内容については駆け足の展開と併せて,物足りなさと蛇足感を抱くのは否めないところで,
本篇とも言える一つ前で閉じておいた方が,キレイにまとまっていたのではないでしょうか.