アメリカン・スクール(新潮文庫) の感想

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タイトルアメリカン・スクール(新潮文庫)
発売日2014-10-31
製作者小島 信夫
販売元新潮社
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 芥川賞 » 26-50回

購入者の感想

 本書には次の8本の短編が収録されており、個人的好みで作品ごとに星をつけてみました。
「汽車の中」 「アメリカン・スクール」 「馬」 ☆☆☆☆☆
「微笑」 「鬼」 ☆☆☆☆ 
「燕京大学部隊」 「小銃」 「星」 ☆☆☆
 ☆5つをつけた作品に共通するのは、いずれも女性が強く、男性がどこか自虐的だという点でしょうか。
 ☆3つの作品はいずれも戦時中を舞台とした作品です。

 強烈な印象を残すドタバタ喜劇「汽車の中」では、ぎゅうぎゅう詰めの汽車の中で翻弄される主人公佐野だが、彼の細君の夫に対する態度がもう可笑しくて堪らない。
 佐野が無理矢理汽車の窓から引きづり込まれた瞬間、細君のほっぺたを横殴りになでた夫に対し「あなた、子どもだってもっとましよ。人造人間だってもっとましよ」と悲鳴に似た叫びをあげる。

 「アメリカン・スクール」では英語ができもしないのにできると勘違いされた男伊佐が、なんとか英語をしゃべらなくていいように逃げよう逃げようとする一方、英語をしゃべりたくて堪らない山田という男とのやりとりが可笑しく、紅一点の教員ミチコの力強さが引き立ちます。
 この「アメリカン・スクール」は傑作で、何度繰り返し読んでも面白く、巧いなあと感心してしまいます。
 そして芥川賞の本流ではないと思われた本作に賞を与えた審査員には拍手を送りたい。

 「馬」では、くらがりに帰ってきた僕が何かに躓いて見てみると材木が高く積まれていて、どうやら妻のトキ子が自分で勝手に家を建てようとしている場面から物語が始まります。
 そんなトキ子に対し「僕は今までトキ子にはおどろかされつづけである」「僕はトキ子に言いたいことがいっぱいあるにもかかわらず、いつもトキ子の方が僕に言い分があると思っているのだ」
 このオープニング場面の夫婦のやりとりからしてもう可笑しい。
 妻に翻弄され、妻のなすがままに物事が進んでいくおかしさ。
 なんとも素晴らしいです。

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