新樹の言葉 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル新樹の言葉 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者太宰 治
販売元新潮社
JANコード9784101006161
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者

購入者の感想

中期の比較的充実した時期の作品と思う。充実期の太宰は、割合と商売に徹していて「読ませる」。小説とは、やっぱり面白い読み物として、まずあらねばならないだろう。「人間失格」や「斜陽」を太宰の「本領」と考える人には、本書はやや物足らないだろうが、私自身は、むしろああいう荒んだ勢いで書ききったようなものは割合と文章が練られておらず、志賀直哉に意地悪を言われるようなわざとらしい語法など脇が甘いところがあると思う。一方、本書の収録作品や、未収録の傑作「富嶽百景」「新釈諸国噺」などは、自意識の展開を見事な文体で面白おかしく、しかし壮絶に語りきった見事なものだ。「私小説」の一典型だが、一方でバランスの良さも特筆したい。「花燭」や「葉桜と魔笛」は読み応え十分だが、かなり通俗へ転落する危うさもある。「愛と美について」は姉妹編「ろまん灯篭」(本書未収)より良く、「誰も知らぬ」「新樹の言葉」は何も言うことは無い。やっぱり広く愛される大作家だと思う。猪瀬直樹の「ピカレスク」は、太宰の真実に迫る逸品だが、通常人が思うような「小説家」太宰のイメージをぶち壊す、しかし、たぶんそうだったのだろうとむしろ首肯する内容だ。諸作品と考え合わせると興味深い。

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