噂のメロディ・メイカー の感想

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「ワム！の日本人ゴーストライターがいた」という、荒唐無稽な噂。
その噂の真相を追究するにつれ、この物語はどんどん加速して行きます。
ミュージシャン、作詞家である著者の紡ぐ、丁寧な表現と文章のリズム。
もっともっと、と楽しむうちに、あっという間に読み終わってしまいました。

「ノンフィクション風小説」とありますが、圧倒的なリアリティで進むいくつもの出来事に対しては、
まさにどこまでが事実で、どこまでがフィクションか、考えれば考えるほどに深みにハマり、
その虚実の皮膜にクラクラしてしまいました。

そしてもう一点、本作が白眉であるのは、著者の圧倒的な熱量と、圧倒的な愛情で語られる
80年代洋楽シーンの記述・解説です。ある意味、「新しい８０年代洋楽の教科書」。

当時の洋楽が好きだった人はもちろん、むしろ当時の洋楽を知らない人にも是非、読んで欲しい一冊。
読み終わった頃には、きっとワム！の音楽が聴きたくなることでしょう！