ジュリアス・シーザー (白水Uブックス (20)) の感想

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参照データ

タイトルジュリアス・シーザー (白水Uブックス (20))
発売日販売日未定
製作者ウィリアム・シェイクスピア
販売元白水社
JANコード9784560070208
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » イギリス・アメリカ

購入者の感想

「ジュリアス・シーザー」。もちろん、実在の人物。
しかし、この戯曲の、主人公は、
そのシーザーの暗殺者の一人、ブルータスである。
歴史劇で、実在の人物がたくさん出ているからか、
人物の造形に厚みを感じる。
序盤、シーザーは登場しないが、シーザーの噂話や、
その影響力ゆえに他の登場人物が右往左往している描写は、
とても見事だし、とても演劇的。

暗殺者たち、特に、
キャシアスのシーザー暗殺後の凡庸さの描写がいい。
つまり、大した男でないのに、
ローマを意のままにしているシーザーに嫉妬と恐怖を覚え、
彼を暗殺したキャシアス達は、
しかし、結局は、
シーザーという人間の大きさには足元にも及ばない存在
であることがよくわかる。

また、第三幕第三場、暗殺者の一人シナと同じ名前だというだけで、
怒り狂ったローマ市民に殺される詩人シナの場面が凄い。
「大衆」という存在に対する、
シェイクスピアの冷たい批評眼を明確に感じることができる。

「ジュリアス・シーザー」は名作だと思う。

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