今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 仲正 昌樹 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062879965 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門 |
購入者の感想
数年前にアーレントの『人間の条件』を読んだことがある。
ギリシャのポリスやアリストテレスなどを持ち出されると、結局、そこへ帰れということなのかと、曖昧な理解のまま投げ出してしまった。そして本書である。
アーレントからの引用は少なく、どちらかと言うと、アーレントの思想を借りて、著者の主張を展開しているようにも読める。「分かりやすい」言葉には気をつけろと言いながら、自分は分かりやすい書き方をするという著者の開き直りに逆に好感を持ってしまう私には、著者のひねくれ方が心地よい。
現実の世界の不安や緊張感に耐えられなくなった大衆は、一気に問題を解決してくれそうな虚構の世界への誘いに逃げ込んでしまう。アーレントは、それが全体主義の起源であったと考察し、複雑なものを複雑なままに、オープンに討議し続けることの重要性を繰り返し主張する。本書は、全体主義的傾向に流れやすい日本人に対する警鐘として読まれるべきだと思う。
答えのない問いを問い続けることは、サンデル先生がこれからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学で言っていることと同じである。もう一度、アーレントを読み直してみようと思う。
ギリシャのポリスやアリストテレスなどを持ち出されると、結局、そこへ帰れということなのかと、曖昧な理解のまま投げ出してしまった。そして本書である。
アーレントからの引用は少なく、どちらかと言うと、アーレントの思想を借りて、著者の主張を展開しているようにも読める。「分かりやすい」言葉には気をつけろと言いながら、自分は分かりやすい書き方をするという著者の開き直りに逆に好感を持ってしまう私には、著者のひねくれ方が心地よい。
現実の世界の不安や緊張感に耐えられなくなった大衆は、一気に問題を解決してくれそうな虚構の世界への誘いに逃げ込んでしまう。アーレントは、それが全体主義の起源であったと考察し、複雑なものを複雑なままに、オープンに討議し続けることの重要性を繰り返し主張する。本書は、全体主義的傾向に流れやすい日本人に対する警鐘として読まれるべきだと思う。
答えのない問いを問い続けることは、サンデル先生がこれからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学で言っていることと同じである。もう一度、アーレントを読み直してみようと思う。