レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集 の感想
参照データ
タイトル | レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 菊地 成孔 |
販売元 | 亜紀書房 |
JANコード | 9784750514529 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » か行の著者 |
購入者の感想
追悼の時に人はその故人への思いが強いほど言葉を失いがちですが本書の著者は逞しく饒舌に洒落を貫き通しています。偶然書店で手に取った本書のエイミー・ワインハウスの追悼に「亡くなった方をディスるつもりは全くありませんけど、あれは懐かしい顔ですよ。銚子にいっぱいいました。あの感じは。」という失笑の箇所に擽られてすぐに購入しました。
菊地成孔さんの著書『レクイエムの名手』は正しく酸いも甘いも知る、違いの分かる大人の為の書です。まえがきによれば当初のタイトルは『死神』だったという菊地さんらしい説明をされていますが、このような事情は本書のあとがきに躊躇いながら満を持して公開される逸話に連動しています。2013年に菊地さんのラジオ番組に出演した音楽評論家の相倉久人さん、菊地さんが彼流に表現するところの「日本のビートニクのオールドスクーラー」である相倉さんに放った「先生、ワタシね、懇意にしてくれる方がみんな死んじゃうんで死神って言われてるんですよ(笑)」という目の覚める言葉に由来するもので、菊地さん本人はこちらの『レクイエムの名手』を仇名と称してずっと後を引いているようですが、やはりこの無難な一般の読者が気軽に手に取りやすいタイトルで良かったと思います。彼も人の子です、彼に纏わる複雑で特殊な、選ばれた生い立ちはぜひ本書を冒頭からお読みになってもらうとして、彼の哄笑や毒舌、猥雑、陶酔、機知に諧謔といったその目まぐるしくも鮮やかな個性の裏側にある達観や悲哀を本書を通して自ずと汲み取ることができると思います。
近頃には珍しい本当に飛び抜けてポップで可笑しくて衒学的になろうと思えばなれるし、愚か者を笑い飛ばす痛快な文体で人によっては悪文に感じられるかもしれません。ただ落語的な笑いのセンスに共鳴できる場合にはミュージシャンならではの話題へのテンポ感さえ噛み合えば例外なく、そして問題なく愉しく、場合によっては抱腹絶倒に読み通せる書物です。
菊地成孔さんの著書『レクイエムの名手』は正しく酸いも甘いも知る、違いの分かる大人の為の書です。まえがきによれば当初のタイトルは『死神』だったという菊地さんらしい説明をされていますが、このような事情は本書のあとがきに躊躇いながら満を持して公開される逸話に連動しています。2013年に菊地さんのラジオ番組に出演した音楽評論家の相倉久人さん、菊地さんが彼流に表現するところの「日本のビートニクのオールドスクーラー」である相倉さんに放った「先生、ワタシね、懇意にしてくれる方がみんな死んじゃうんで死神って言われてるんですよ(笑)」という目の覚める言葉に由来するもので、菊地さん本人はこちらの『レクイエムの名手』を仇名と称してずっと後を引いているようですが、やはりこの無難な一般の読者が気軽に手に取りやすいタイトルで良かったと思います。彼も人の子です、彼に纏わる複雑で特殊な、選ばれた生い立ちはぜひ本書を冒頭からお読みになってもらうとして、彼の哄笑や毒舌、猥雑、陶酔、機知に諧謔といったその目まぐるしくも鮮やかな個性の裏側にある達観や悲哀を本書を通して自ずと汲み取ることができると思います。
近頃には珍しい本当に飛び抜けてポップで可笑しくて衒学的になろうと思えばなれるし、愚か者を笑い飛ばす痛快な文体で人によっては悪文に感じられるかもしれません。ただ落語的な笑いのセンスに共鳴できる場合にはミュージシャンならではの話題へのテンポ感さえ噛み合えば例外なく、そして問題なく愉しく、場合によっては抱腹絶倒に読み通せる書物です。