箱男 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル箱男 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者安部 公房
販売元新潮社
JANコード9784101121161
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 芥川賞 » 1-25回

購入者の感想

安部公房と行ったら箱男。

はっきり言って、よく分からな無い構成ですが、このカオスをどう泳ぎきるか。
読み手によって、評価も、感想も、読後感も違うものでしょう。
それこそ、安部さんに踊らされているような気がします。

 安部公房の作品を読んだのは随分久しぶりだったが、本書を読み、その前衛的な手法にただただ圧倒された。全編を通じて前衛的な手法が実験されており、これに幻惑されない読者はいないだろう。冒頭の新聞記事、いきなり箱の作り方から始まる本文、挿絵的に挿入される詩と筆者撮影の写真、破天荒な展開を見せるストーリー。同世代の作家の中では間違いなく最も前衛的、実験的な作風である。三島由紀夫や大江健三郎の他に安部公房を有していた戦後の日本は明らかに世界に冠たる文学大国であった。

 ただ、音楽や絵画でもそうだが、芸術性が優れていると感じてもなかなか好きになれない作品というのがある。私にとって、残念ながら、この作品はこのカテゴリーに属してしまう。その実験的な手法は間違いなく卓越したものであり、今後の世界の文学界に影響を及ぼし続けていくものだと私は思うが、私はより古典的な手法をとる作品を好む。しかしながら、安部公房の日本文学史における位置づけをあらためて考えさせてくれた本書は、一読の価値がある作品だと言えると思う。

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