MiG-29 フルクラム (イカロス・ムック 世界の名機シリーズ) の感想

アメリカのF/A-18、F-16に対抗して作られたMiG-29。
「プガチョフ・コブラ」や「クルビット」で有名になったSu-27に比べると若干陰が薄いMiG-29。
しかし謎の多かった本機も、冷戦終了で情報公開が進み、日本でもこのような本が発売されるまでになりました。
文林堂の「世界の傑作機」は、基本的には引退（あるいは間近）の機体を取り上げているのに対し、イカロス出版の「世界の名機」シリーズは現役バリバリの機体を紹介したシリーズです。
巻頭のグラビアから、各型紹介、開発ストーリー、そして世界の採用国紹介、機体解説では構造、エンジン、ウエポン、コクピット、レーダー＆センサー、飛行特性等の紹介、が基本的な構成です。
このシリーズで特に解かりやすいのが各型紹介と機体紹介で、開発順で写真と解説、そして以前のタイプとの識別点がイラストで紹介されています。
このMiG-29の場合、最初期の無印、NATOコードネーム「フルクラムA」から、最新型MiG-35までを網羅。解説も長ったるしくなく良くまとめられています。
なぜかMiG-29OVTの紹介が無かったのですが、試験機だからでしょうか？コーナーの見開きでは写真が載っているんですが。
機体紹介でも、イラストを使って特徴を解説していて分かりやすくまとまっています。

総合的には☆5つにしたいのですが、このシリーズの欠点、誤値が多いです。
P90で掲載されているアルジェリア空軍のMiG-29UBとして紹介されている写真はどう見てもSu-30MKAです。
巻頭グラビアでもMiG-29SをSu-27Sと紹介したりしています。

しかし初めて知る事実も多かったので☆4つです。
この「世界の名機」シリーズ、次回は新たなカテゴリーで「世界の名機　スペシャルエディション」としてF-14トムキャットが登場するようです。
ベテラン機を紹介するシリーズのようですが、「世界の傑作機」との差別化が気になります。