死の家の記録 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル死の家の記録 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者ドストエフスキー
販売元新潮社
JANコード9784102010198
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ロシア文学

購入者の感想

“罪と罰”“白痴”“悪霊”“カラマーゾフの兄弟”といった超大作群を生み出す前に世に問われた作品で、その特異な構成は小説というよりは記録文学のはしり−に近い気がします。 すでにラスコーリニコフやスタヴローギン、カラマーゾフらの原形と思しき人々も描かれており、まさにドストエフスキーの出発点と言える作品です。 後期のドストエフスキー作品において特徴的な壮大な観念論や饒舌癖があまり見られないので読みやすく、その冷静な写実性が当時のロシア文壇で高く評価されたーと、解説にもあります。

やはり感動的なのはラスト近くの“ここまで来たら、もう何もかも言ってしまわなければならぬ−”から始まる一文で、高校生の頃初めて読んだ時はただ感情的に、感動に浸っていただけなのですが、大人になってから読み返してみても、不当に失われた時間、才能、生命というものに対する共感の言葉としてまれに見る輝きをもった一文だなあ−と思います。 ドストエフスキーはあくまでもシベリア監獄の囚人達をおもって書いている言葉なのですが、これは不当な苦しみにあえいでいる、すべての善良な人達に対するいたわりの言葉として通用すると思います。 今では廃れてしまった言葉ですが、こういうのを“世界文学”というのではないでしょうか。  他の作品群とは一味違う、希望に満ち溢れたラストも素晴らしい。 長すぎるドストエフスキー作品、一体どれから読んだらいいのだろう?と、思っている方には断然お薦めの一編です。 

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