ガリレオをめぐって (叢書・ウニベルシタス) の感想
参照データ
タイトル | ガリレオをめぐって (叢書・ウニベルシタス) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ホセ・オルテガ・イ・ガセット |
販売元 | 法政大学出版局 |
JANコード | 9784588000126 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » スペイン・ポルトガル |
購入者の感想
20世紀の生んだ最も偉大な精神の一人、オルテガ・イ・ガセットの講演録。オルテガは人間の危機を「既存の世界観(確信の体系)から新しい世界観へ移行する間に発生する、どのような信念にも立脚することのできない混乱という生の一形式」であると定義する。こうした危機の時代こそ(ヨーロッパの)古代・中世・近代・現代を画する期間であると。そして、現在人間が陥っている状況も、近代精神という信仰の喪失された危機の時代であり、危機とはなぜ起こり、どのように推移し、いかなる終局を迎えるか、を過去に遡ってじっくりと検討することこそ、混乱の時代に生きるわれわれにとって不可欠なことであると説く。本書は「オルテガがいちばん油の乗り切った時期に書かれた作品」であり(解説より)、オルテガが過去の歴史的危機の本質を解き明かすに当たって用いる視点には、オルテガの生の哲学の全ての力が結集されている。
オルテガというとまず知られているのは『大衆の反逆』であり、『大衆の反逆』も間違いなく秀逸な論考だが、しかしオルテガ哲学のほんの序の口に過ぎない。この『ガリレオをめぐって』や『人と人びと』はそれを凌ぐ作品であり、オルテガの名が現在ほとんど知られていないこと、「知識人」や「文化人」の口にのぼることなど全くと言っていいほどないこと、その著作の翻訳物のほとんどが絶版になっていること、などは改めて現代の出版界に対して暗澹たる思いを起こさせるに十分過ぎるほどである。
凡俗の書が数千冊束になっても相手にならない、真の大作である。ご照覧あれ。
オルテガというとまず知られているのは『大衆の反逆』であり、『大衆の反逆』も間違いなく秀逸な論考だが、しかしオルテガ哲学のほんの序の口に過ぎない。この『ガリレオをめぐって』や『人と人びと』はそれを凌ぐ作品であり、オルテガの名が現在ほとんど知られていないこと、「知識人」や「文化人」の口にのぼることなど全くと言っていいほどないこと、その著作の翻訳物のほとんどが絶版になっていること、などは改めて現代の出版界に対して暗澹たる思いを起こさせるに十分過ぎるほどである。
凡俗の書が数千冊束になっても相手にならない、真の大作である。ご照覧あれ。