初等整数論 ―数論幾何への誘い― (共立講座 数学探検 6) の感想

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参照データ

タイトル初等整数論 ―数論幾何への誘い― (共立講座 数学探検 6)
発売日販売日未定
製作者山崎 隆雄
販売元共立出版
JANコード9784320111790
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 数学 » 代数・幾何

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「数論幾何への誘い」という魅力的なサブタイトルをもつ本書は、「整数の世界と多項式の世界」がとても類似している事を教えてくれる非常に面白い書である。

最初の四つの章は後半の主題への準備の章であり、有理整数環Zや多項式環F【t】が単項イデアル整域(PID)であり、従って一意分解整域(UFD)になることが丁寧に説明されている。可換環のイデアルや剰余環の概念を用いることで、整数や多項式の整除と割算の剰余の理論が非常に簡潔に表現できる事を初学者の方でも理解できるだろう。

第5章では有限体Fp上の有名な方程式の解の個数が考察されている。Fpの元がn冪となる条件の解明をもとに、単位円や高次元の球面上の点の総数が求められている。更にフェルマー型(n冪の複数個の和が単位元1に等しくなる)方程式の解の総数がヤコビ和を用いて表現できることが示されており興味深い。

第6章「平方剰余の相互法則」と第9章「多項式環における平方剰余」は本書の大きな特徴の一つだろう。有理整数環Zにおける平方剰余の相互法則は、「初等整数論」のテキストで必ず取り上げられる主役(の一つ)であり多くの証明が知られているが、本書では有限体上の球面の点の個数を評価することによって相互法則を証明するルベーグの方法が紹介されている。更にガウスの第五証明を大幅に簡易化したルソーによる別証明(1991年)が紹介され、この証明が多項式環Fp【t】における相互法則の証明に同一の論理で適用できることが説明されており素晴らしい。

第7章「虚二次体(1)」、第8章「虚二次体(2)」と第10章「超楕円曲線」が本書のもう一つのハイライトといえる。ここでの主役は虚二次体Q(√-d)

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