Jacques Henri Lartigue: The Invention of an Artist の感想
参照データ
タイトル | Jacques Henri Lartigue: The Invention of an Artist |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Kevin D. Moore |
販売元 | Princeton Univ Pr |
JANコード | 9780691120027 |
カテゴリ | » 洋書 » Subjects » Biographies & Memoirs |
購入者の感想
フランスが生んだ偉大な写真家のひとり、ジャック=アンリ・ラルティーグ(1894-1986)。本書はその伝記本であり、(これまであまり語られてこなかった)創作の裏側が詳細に記された研究書である。
ラルティーグは20世紀前半のパリで活躍し、ブレッソンやキャパの登場と入れ替わりに表舞台から去った人だ。このことを写真術と写真機の発達に重ねると、彼の立ち位置はより鮮明になる。つまりラルティーグの全盛期は、当時まだ未成熟であった写真機と、大判ないし中判フィルムによる創作が主体である。
当然カメラの手持ちは難しく、街頭での撮影は三脚が必須でピント合わせも瞬時には行えない。にもかかわらず彼は、後の多くの写真家が携えたライカ判カメラのような生き生きとしたスナップをものにした。いったいどうやって撮ったのか、という長年の疑問が、本書を読むと(すべてではないにせよ)氷解する。これはたいへん痛快な読書体験であった。
膨大な資料と緻密な研究が活かされた優れた書籍だが、本書の主役はあくまでテキスト。掲載されている作品はさほど多くなく、またその大半はよく知られたものである。撮影当時のポスターやロールフィルムのベタ焼きなど、興味深い図版もあるとはいえ、純粋に写真作品だけを鑑賞する目的であれば他の書籍を求めるべきと思う。
ラルティーグは表舞台から去った後も創作を続けており、本書でもその様子はテキストで紹介されている。できれば一般にあまり知られていない後期の作品を観てみたかったのだが、この内容に触れれば不満はない。これは偉大な写真作品を眺めるのではなく、その創作の背景を読み解く書籍なのだ。
ラルティーグは20世紀前半のパリで活躍し、ブレッソンやキャパの登場と入れ替わりに表舞台から去った人だ。このことを写真術と写真機の発達に重ねると、彼の立ち位置はより鮮明になる。つまりラルティーグの全盛期は、当時まだ未成熟であった写真機と、大判ないし中判フィルムによる創作が主体である。
当然カメラの手持ちは難しく、街頭での撮影は三脚が必須でピント合わせも瞬時には行えない。にもかかわらず彼は、後の多くの写真家が携えたライカ判カメラのような生き生きとしたスナップをものにした。いったいどうやって撮ったのか、という長年の疑問が、本書を読むと(すべてではないにせよ)氷解する。これはたいへん痛快な読書体験であった。
膨大な資料と緻密な研究が活かされた優れた書籍だが、本書の主役はあくまでテキスト。掲載されている作品はさほど多くなく、またその大半はよく知られたものである。撮影当時のポスターやロールフィルムのベタ焼きなど、興味深い図版もあるとはいえ、純粋に写真作品だけを鑑賞する目的であれば他の書籍を求めるべきと思う。
ラルティーグは表舞台から去った後も創作を続けており、本書でもその様子はテキストで紹介されている。できれば一般にあまり知られていない後期の作品を観てみたかったのだが、この内容に触れれば不満はない。これは偉大な写真作品を眺めるのではなく、その創作の背景を読み解く書籍なのだ。