世界宗教史〈5〉ムハンマドから宗教改革の時代まで(上) (ちくま学芸文庫) の感想

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タイトル世界宗教史〈5〉ムハンマドから宗教改革の時代まで(上) (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者ミルチア エリアーデ
販売元筑摩書房
JANコード9784480085658
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門

購入者の感想

 この巻では古代ユーラシア大陸の宗教として、シャーマニズムを軸としてアルタイ・ウラル・古シベリア・フィン・ウゴール語族を、バルト・スラブの語族と併せて論じた章から始まる。同著者による「シャーマニズム」と重複する記述もあるが、第一巻から語られ続けた世界中の宗教の諸形態を知ったあとだと、シャーマニズムが与える印象も変わってくる。隣接するイラン宗教やインドからの影響を蒙りながら保存されていく本質が捉えられている。それは現象としては他の宗教にも起こっているということを、著者は繰り返し想起させてくれる。
 
 続いては、キリスト教に関わる章とイスラム教に関わる章が順番に一章ずつ、計四章続く。ローマ帝国の国教となってからイコンを巡る東方教会とローマ教会の対立までを扱った章を読むと、ヨーロッパで花開いた様式としてのキリスト教を知るためには、聖書を読むだけでは全然足りないことを思い知らされる。もはやイエスという存在のみには収まることのない神学の深化・進化、言葉だけ聞いていたキリスト教をめぐるキー・タームが簡潔な著述によって理解しやすくなっている。ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」でゾシマ僧正が体現していた宗教性も、この章に類型が示されている。イスラム教の誕生の経緯に就いては以前に読んだことがあったが、スーフィズムが為した思想的冒険と宣教としての役割に就いては、イスラム教に就いても、経典のみではイスラム教がもたらした人類史上の成果に就いては完全に知りえないことを教えてくれた。近代西洋哲学に貢献したイスラムというのは一エピソードとしては知っていたが、実際にはその思考形式を先取りしていたように見える。
 
 そして最後の章は、終末論的興奮もナザレのイエスの一件も、統治権力に対する抵抗運動も過ぎ去ってからのユダヤ人の宗教思想に就いての章。カバラ、というのも良く聞く言葉だが、この章でその内実を知ることができた。

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