経済を読み解くための宗教史 の感想

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参照データ

タイトル経済を読み解くための宗教史
発売日2015-11-20
製作者宇山 卓栄
販売元KADOKAWA
JANコード9784046013781
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門

購入者の感想

3大宗教およびユダヤ教・儒教・ヒンズー教の古代~現代にいたる普及の歴史を、主要人物や事件と絡めながら、「経済」を主因に立てて分析した世界史論。

ただし基本的に世界史・宗教史が中心で、個別の経済論に関わる記述はほぼ無い。

高度な現代社会を生きる我々は、もういっそ経済的視点のみから宗教を見るほうが良いのかもしれない。

この本を貫く「宗教はカネなどの富の分配に関わる処世術のようなもの」(P34)という醒めた視点を一人ひとりが持つことによって、現代社会に跋扈する新興宗教のうさんくささが、いっそう露わになる。

ネットで一瞬にして知識と情報が手に入る今日、新興の宗教が掲げる「神による救済」の有効な説得材料は乏しい。

権威者や専門家の手を借りずとも、たちどころに多方面から反証を集積できる力を持つ個人の前には、彼らの掲げる「神の保証」などはあっという間に、トーフよりもろく崩れ去ってしまう。

彼らが信者に求めるものはしょせん「お布施(カネ)」なのだ、という現実が露わになるばかりである。

違うと言うのなら、ぜひ会費永久無料・退会自由・お布施無し・書籍や新聞購入等の支出も一切要というシステムのみで、入信者を募ってほしいものだ。

話を戻して、著者は予備校教師でもあるらしい。大胆に枝葉をバサバサ切り取り、経済という太い幹だけから宗教史を語ってみせる手際は、わかりやすさという観点からは見事。

こういう切り口で歴史を展開してくれる先生の話は、受験生ならさぞ、頭に入りやすいことだろう。

世界史を勉強し始めた人、既存の歴史教科書や宗教史の学習に手詰まり感を感じている人が、まったく違う側面から知識を再整理するのにも有用かもしれない。

ただ、この本の「この世もあの世も銭でっせ!」的アプローチによる宗教史の読み解きを完全な是とすることに、心理的な抵抗があることも確か。

国境が確定し資本主義が発達するはるか前の古代~中世の宗教的指導層がみんな、経済的覇権を主な目的に神の輪郭や宗教儀式を構築していたわけでもないだろう。

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