燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者司馬 遼太郎
販売元新潮社
JANコード9784101152097
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

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頂点を迎えた新選組。しかし、時代の大きなうねりの中で、彼らも翻弄されていく。内部での粛正、いっぱしの政治家気取りになる近藤勇、病に侵されていく沖田総司、やってきては去っていく隊士たち・・・。そんななかで、時流を読みつつも、一人の男として、筋の通らない生き方をしたくないと、常に戦の中に身を置く土方歳三。ときに冷徹な眼差しで人を斬る人間であるが、彼を心から慕い、尊敬する人間も多かったのはなぜか。
親友である勇が、このままでは自分たちが日本の歴史の中で逆賊となって貶められると、半ばパニックに陥るのに対して、歳三は風見鶏になることこそ歴史に汚名を残す恥だ、と考え、冷静に判断し、行動する。自分の期待どおりに物事が運ばないとしても、ま、それまでよ、という潔さである。身分や立場が変わっても、多額の金を手にしても、彼の生き方は若い時分から少しも変わらないように描かれている。己の基本的な信念を曲げない点、しかし、よいと判断したものは素直に受け入れて自分のものにする点、常に先を読んで沈着冷静な点、それでいて仲間や部下を可愛がり、俳句を愛でるという別な側面を持っていた点、全てが魅力的である。こういう日本人が存在したのか!という驚きと喜びで胸が躍る。
小説の中では、合戦シーンが数多く登場する。その合間に、恋人お雪との逢瀬という印象的なエピソードが挿入され、大変美しい物語に仕上がっている。鬼の副長が素の歳三に戻って真の恋をする瞬間が優しくも、愛しく、そして、哀しい。
この本を読んで、人間必ずしも勝つためだけに戦うわけではないのだということを初めて知ったように思う。侍魂を持った本当の意味での「ラストサムライ」。それが土方歳三だ。

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新潮社から発売された司馬 遼太郎の燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)(JAN:9784101152097)の感想と評価
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