声 の感想
参照データ
タイトル | 声 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | アーナルデュル・インドリダソン |
販売元 | 東京創元社 |
JANコード | 9784488010478 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド |
購入者の感想
400ページ少々と程よいボリュームの中で、内容の濃い、緻密な組み立てと納得性の高い展開に大満足の読後でした。
ストーリの主軸はクリスマスシーズンでにぎわう、アイスランドの観光ホテルで発生した、猟奇的な殺人事件です。
被害者は、そのホテルの地下室に住み込みで働くドアマン、グドロイグル・エーギルソン。
彼は、幼少期には、類まれなる美声で天才と持てはやされながら、「あること」を機に、栄光の絶頂から、大きな挫折を味わわされ、彼の運命は一気に暗転することになります。
彼の生い立ちは、印象深く、非常に悲しみをかきたてます。特に、挫折して家出してからの、父親や妹、彼自身の生家に対する複雑な心境はさらなる悲しさ、切なさを覚えます。
さらに、事件の関係者それぞれが、なんらかの暗い事情を抱えており、事件に至るまでの、止むに止まれぬ状況に、悲しい共感と、説得力の高さの両方を強く感じました。
事件の捜査にあたるのは、犯罪捜査官のエーレンデュルと、彼の部下、エリンボリクとシグリデュル=オーリで組まれる捜査チームです。
重たく、暗鬱なストーリー展開の中、彼らの会話に、ほんの少しながらウイットが添えられており、本作の魅力を高めていたと思います。
彼らの捜査は「聞き込み」がメインだったと思います。ただ、前述のとおり、事件の関係者は何らかの後ろめたい事情があり、エーレンデュルたちの聞き込みに対して、なかなか真実を語りません。また、有力とも思える証言も、重要な真実が全て語られず、捜査の始まりから中盤までは、むしろかく乱させられます。
この困難な中、エーレンデュルたちは地道な捜査で証拠を得て、また、最初はろくに証言をしなかった関係者に対して、なだめ、説得し、時に威圧しながら真実を積み上げていきます。この事実関係の繋がりが非常に緻密で納得性が高く、「誰の証言から何が判っていくのか」この捜査の展開に緊迫感を覚えながら読み進めました。
また、主題の事件と並行して二つのエピソードが展開します。
一つは、全く別件のDV事件、もうひとつはエーレンデュルと、彼の娘、エヴァ=リンドとの複雑な親子関係についてです。
ストーリの主軸はクリスマスシーズンでにぎわう、アイスランドの観光ホテルで発生した、猟奇的な殺人事件です。
被害者は、そのホテルの地下室に住み込みで働くドアマン、グドロイグル・エーギルソン。
彼は、幼少期には、類まれなる美声で天才と持てはやされながら、「あること」を機に、栄光の絶頂から、大きな挫折を味わわされ、彼の運命は一気に暗転することになります。
彼の生い立ちは、印象深く、非常に悲しみをかきたてます。特に、挫折して家出してからの、父親や妹、彼自身の生家に対する複雑な心境はさらなる悲しさ、切なさを覚えます。
さらに、事件の関係者それぞれが、なんらかの暗い事情を抱えており、事件に至るまでの、止むに止まれぬ状況に、悲しい共感と、説得力の高さの両方を強く感じました。
事件の捜査にあたるのは、犯罪捜査官のエーレンデュルと、彼の部下、エリンボリクとシグリデュル=オーリで組まれる捜査チームです。
重たく、暗鬱なストーリー展開の中、彼らの会話に、ほんの少しながらウイットが添えられており、本作の魅力を高めていたと思います。
彼らの捜査は「聞き込み」がメインだったと思います。ただ、前述のとおり、事件の関係者は何らかの後ろめたい事情があり、エーレンデュルたちの聞き込みに対して、なかなか真実を語りません。また、有力とも思える証言も、重要な真実が全て語られず、捜査の始まりから中盤までは、むしろかく乱させられます。
この困難な中、エーレンデュルたちは地道な捜査で証拠を得て、また、最初はろくに証言をしなかった関係者に対して、なだめ、説得し、時に威圧しながら真実を積み上げていきます。この事実関係の繋がりが非常に緻密で納得性が高く、「誰の証言から何が判っていくのか」この捜査の展開に緊迫感を覚えながら読み進めました。
また、主題の事件と並行して二つのエピソードが展開します。
一つは、全く別件のDV事件、もうひとつはエーレンデュルと、彼の娘、エヴァ=リンドとの複雑な親子関係についてです。