China 2049 の感想
参照データ
タイトル | China 2049 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | マイケル・ピルズベリー |
販売元 | 日経BP社 |
JANコード | 9784822251048 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
この本を最初は原文で読んだ、難しくて、堪らずに邦訳版に切り替えたのだった。野中香方子さんの翻訳は、アマゾン•コムの書評を見る限りにおいては評判がよくないが、私にとっては上出来に思える。
アマゾン•コムの書評を幾つか見ると、星五つもそうでないものも、程度の高いものが多いと感じた。中国との軋轢だけを気にしているのではなく、日本の国際的な立ち位置を考えている人達が沢山居るのだと心強く感じた。
これからこの本を読む人の為に、邪魔にならない程度に内容を紹介する。
アメリカの中国専門家として著名な、マイケル・ピルズベリー氏が、自身の反省も含めて、中国にだまされてきたアメリカの対中政策の誤りを真摯に述べたものである。最初は、ようやく中国のずるさに気がついたか、と快哉したが、次第にアメリカ人のアジアに対する無知に腹が立ってきた、とは言え、振り返ってみれば、人のことは言えない、「力を隠し、無力なふりをせよ」(本文より)と、弱者で貧者の振りをする中国に多額の政府開発援助(ODA)を供与していたにもかかわらず、少しも感謝されなかった日本である。昔からぶれずに反中国の警告を発してきた政治家は、石原慎太郎氏くらいではないだろうか。
著者は、「中国人は、自国の対中政策を批判するアメリカ人は政治的見解の相違から分裂し、決して互いに協力しないということを喜んでいる」と述べているが、同じことが日本にも言える、例えば、日本の首相が靖国神社に参拝することを好まない日本人が居る限り、中国は参拝を批判するだろうし、沖縄の革新団体が「独立」の言葉を発すると、尖閣諸島への接近を始める、など日本の政治家或は庶民の動きをよく観察して行動していると思う。
Shelia A. Smithというアメリカ人の、「Intimate Rivals Japanese Domestic Politics and a Rising
アマゾン•コムの書評を幾つか見ると、星五つもそうでないものも、程度の高いものが多いと感じた。中国との軋轢だけを気にしているのではなく、日本の国際的な立ち位置を考えている人達が沢山居るのだと心強く感じた。
これからこの本を読む人の為に、邪魔にならない程度に内容を紹介する。
アメリカの中国専門家として著名な、マイケル・ピルズベリー氏が、自身の反省も含めて、中国にだまされてきたアメリカの対中政策の誤りを真摯に述べたものである。最初は、ようやく中国のずるさに気がついたか、と快哉したが、次第にアメリカ人のアジアに対する無知に腹が立ってきた、とは言え、振り返ってみれば、人のことは言えない、「力を隠し、無力なふりをせよ」(本文より)と、弱者で貧者の振りをする中国に多額の政府開発援助(ODA)を供与していたにもかかわらず、少しも感謝されなかった日本である。昔からぶれずに反中国の警告を発してきた政治家は、石原慎太郎氏くらいではないだろうか。
著者は、「中国人は、自国の対中政策を批判するアメリカ人は政治的見解の相違から分裂し、決して互いに協力しないということを喜んでいる」と述べているが、同じことが日本にも言える、例えば、日本の首相が靖国神社に参拝することを好まない日本人が居る限り、中国は参拝を批判するだろうし、沖縄の革新団体が「独立」の言葉を発すると、尖閣諸島への接近を始める、など日本の政治家或は庶民の動きをよく観察して行動していると思う。
Shelia A. Smithというアメリカ人の、「Intimate Rivals Japanese Domestic Politics and a Rising
原題は「THE HUNDRED-YEAR MARATHON」と、1949年の中華人民共和国の発足から100年掛けて世界の覇権を手に入れる為の長期戦略を指している。
筆者は米国において長年中国の研究に当たって来た要人であり、元々は親中派とされたが、現在は中国の長期戦略に警鐘を鳴らしている。その筆者にして、様々な要因で欺かれ、最近まで中国の長期戦略を正しく把握出来ていなかったとする率直な告白には驚かされる。
米国が戦後、中国と接近したのは、ソ連との冷戦があった為であり、中国から(米国も気付かない)積極的な働きかけがあったこと、中国はソ連を打ち負かす野望を持っていたのみならず、米国さえも凌駕する考えを当時から持っていたこと、は意外であるが、中国の野望は自国を最強の存在とする覇権主義であり、その為にはいくらでも時間をかけることを厭わない国である、というソ連要人の言葉は説得力がある。
中国は米国が英国から覇権を奪取した経緯を研究し、経済力を強化する必要性を認識し、経済発展にとって技術が極めて重要な要素であることから、技術移転に力を入れて来た。
中国は爪と野望を隠して弱者を装い、米国に近づき、米国は中国を民主化するという思惑で支援したことから、技術面で数十年分の貢献をしたとされるが、1989年の天安門事件前後では支援すべき相手を見誤る。
現在の関心は、経済力で中国は何時米国を上回るのか、という点に加えて、軍事的な力のバランスがどうなって行くのか、ということであるが、中国はサイバーや衛星の世界で米国の弱みを突いており、いざという時に米国の軍事力を無力化する方策を探っているように見えることは不気味である。
本書に描かれていることは、米国から見た中国の長期戦略とその脅威であるが、日本人としても知っておくべき歴史的経緯や現在の環境認識に溢れた一冊である。
筆者は米国において長年中国の研究に当たって来た要人であり、元々は親中派とされたが、現在は中国の長期戦略に警鐘を鳴らしている。その筆者にして、様々な要因で欺かれ、最近まで中国の長期戦略を正しく把握出来ていなかったとする率直な告白には驚かされる。
米国が戦後、中国と接近したのは、ソ連との冷戦があった為であり、中国から(米国も気付かない)積極的な働きかけがあったこと、中国はソ連を打ち負かす野望を持っていたのみならず、米国さえも凌駕する考えを当時から持っていたこと、は意外であるが、中国の野望は自国を最強の存在とする覇権主義であり、その為にはいくらでも時間をかけることを厭わない国である、というソ連要人の言葉は説得力がある。
中国は米国が英国から覇権を奪取した経緯を研究し、経済力を強化する必要性を認識し、経済発展にとって技術が極めて重要な要素であることから、技術移転に力を入れて来た。
中国は爪と野望を隠して弱者を装い、米国に近づき、米国は中国を民主化するという思惑で支援したことから、技術面で数十年分の貢献をしたとされるが、1989年の天安門事件前後では支援すべき相手を見誤る。
現在の関心は、経済力で中国は何時米国を上回るのか、という点に加えて、軍事的な力のバランスがどうなって行くのか、ということであるが、中国はサイバーや衛星の世界で米国の弱みを突いており、いざという時に米国の軍事力を無力化する方策を探っているように見えることは不気味である。
本書に描かれていることは、米国から見た中国の長期戦略とその脅威であるが、日本人としても知っておくべき歴史的経緯や現在の環境認識に溢れた一冊である。