LLVM/Clang実践活用ハンドブック の感想

インストール方法、LLVM-IRの大まかな説明、Clangの構文解析器を用いたサンプル、
最適化ツール群等々、内容は多岐にわたっている。
ただし、その分、各々の記述は中途半端なものとなってしまっている。

そもそも、A5版250ページ強の本一冊に広範な内容を詰め込むこと自体が無茶な
企画だと思うが、著者の知っていることを漫然と並べたような構成は読み難く理解も
しづらいように感じた。
サンプルコードの実行結果の図などに不必要に多くの紙面を割いているが、本文の理解の助けに
ならず、単に可読性を低下させているのもマイナスポイント。

コマンドのオプションを含めた簡便なリファレンスマニュアルもなく、単なるLLVM/Clangの
紹介本として以上の価値は感じられなかった。

出版時点でLLVMとClangに関して書かれた和書はほかに一冊しかないので大変貴重な本書だが、
部分部分で役に立つ記述があるにもかかわらず構成のまずさから、星ふたつとさせていただく。