琥珀のまたたき の感想

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参照データ

タイトル琥珀のまたたき
発売日販売日未定
製作者小川 洋子
販売元講談社
JANコード9784062196659
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

 読後、不思議な世界を漂っている。過去、あまり接したことのない作品だから
である。ルイス・キャロルの「アリス」。不思議の国や鏡の国を往復した「アリス」
の冒険が浮かんでくる。閉鎖的な空間と現実の世界。また、宮沢賢治の《心象スケ
ッチ》のようなものかもしれない。『銀河鉄道の夜』のジョバンニが夢の中で、
死者たちと華やかな体験をし現実の世界に帰還する。作者は登場人物に心の
スケッチを語らせている。

 二人は老人福祉施設のなかだろうか。「アンバー氏」と「私」の会話が十一篇の
冒頭に描写される。登場人物の正式な名前はない。「私」は、曲がった指で施設の
ピアノを伴奏する女性である。アンバーは「琥珀」の英語名詞である。

四きょうだいの末娘が野良犬に舐められた結果死ぬ。医師は肺炎が原因だと云う。
母親は「魔犬」の仕業であると主張する。「魔犬」を避けるため父(正妻は別に
いた)の別荘で母親の「禁止事項」を忠実に守る生活がスタートする。

父は、「各種図鑑」の出版会社を経営していた。別荘には膨大な図鑑が残され,
三姉弟は外の世界をそこで知る。ママの命令で、過去の名前を忘れるように図鑑
からとる。姉は「オパール」、弟「琥珀」、末弟「瑪瑙」である。
別荘の「草刈り」をするロバは「ボイラー」、野良猫は「カエサル」、商売人の
青年は「ジョー」である。

書棚に並べられた図鑑をめぐるママと姉弟の創造と想像の世界が拡がっていく。
琥珀の左目の「またたき」で記憶と想像(作者は地層と表現している)で物語
を紡ぎ、亡くなった妹の思い出や閉鎖的空間での体験を図鑑の空白部分に描いて
いく。「パラパラ漫画」ならぬ「パラパラスケッチ」になっていく。
 しかし、詳述は避けるが、外の世界から「使者」が図鑑の世界、閉鎖的空間に
入り込んでくる。「ジョー」「カエサル」「ボイラー」が三姉弟を現実世界に
引き戻す役割を果たす。

 非現実世界、非日常的世界と現実。閉鎖的空間、異空間と現実。その入れ替わり

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