密やかな結晶 (講談社文庫) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル密やかな結晶 (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者小川 洋子
販売元講談社
JANコード9784062645690
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

ひさびさに、小説を読んで、その楽しさに耽溺しました。

小川洋子は、同世代の作家だし、2004年本屋大賞の『博士の愛した数式』
は当時高校生だった娘といいよねぇ、盛り上がった作品でした。
寺尾聰と浅岡ルリ子が出ている映画も見に行って。

この『密やかな結晶』はかなり前に買って読めないでいました。

世界からいろいろなものが消滅していく物語に心がひるんでしまって。

でも、400pの小説を読み終わって、これは

世界に誇れる日本文学の傑作ではないだろうか、、、
と思います。

暴力シーンも、戦闘シーンもなく、圧倒的暴力とその暴力への
抵抗を描いていることが奇跡のように思えます。

小説家である20代と思われる女性が主人公、この”わたし”が
生きている世界では、少しずつ、ものが消滅していきます。

リボン、香水、鈴、オルゴール、エメラルド、ハーモニカ、鳥、、、、

物体としてのものがなくなるだけでなく、それらのものがあったという
記憶そのものが抹殺されていく世界です。

確かに、これらのものが無くても、人は、生きていける。けれど、
私達が生きる世界がいかに、これらの些細なものの甘美な記憶と
体験で生きているか、ということが痛いようにわかります。

些細なものの消滅の次には、地図、カレンダー、写真、小説、、、、と
消滅は続きます。

そんな世界に、消滅したものを記憶している一部の人がいます。
そういう人たちは、記憶狩りといって、秘密警察に連行され、消えていく。

主人公の私は、記憶を保持したままの自分の編集者を自分の
家の隠し部屋にかくまいます。

まるで、ナチスの時代のアンネ・フランクのように。

そう、この小説自体が、ナチスの、またスターリンの粛正時代、中国の
文革、いやいや、日本の治安維持法、そして、今年の原発事故までも

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

密やかな結晶 (講談社文庫)

アマゾンで購入する
講談社から発売された小川 洋子の密やかな結晶 (講談社文庫)(JAN:9784062645690)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.