生と死の自然史―進化を統べる酸素 の感想

進化を扱う本は様々であるが、これは酸素に目を向けて進化を論じている本である。

本に書かれている文は専門的で、微生物にはきちんと二名法が用いられており

動植物やウイルス、カンブリア紀の動物なども言及されている。

書かれている内容は多岐に及び、様々な論文や著作物をもとに

地球科学、物理化学、進化生物学、医学生物学、生物無機化学、

古代世界史、有機化学、生態学、哲学、地質学、分子生物学、･･･と

ありとあらゆる学問の見地から述べられている。

これ1冊で何冊分も本を読むことと同義になるかもしれない。

読者を迎合しているわけでもない難しい内容なのに、読むことをせきたてられる文章である。

この本は15からなる章に分かれて編纂されており、各章は我々に疑問を投げかけた状態もしくは

ある事例に対しての考えを類推させた状態で終わる。そして次章ではそれについての様々な方向からの

アプローチで疑問を解決しようとする。

これだけの内容をミステリーのように読むことが出来るのはすごいとことである。

原書もいいのかもしれないが、訳もかなり良い。綺麗な日本語が使われていていいと思う。

内容が多少専門的であるが、本の巻末には用語の詳しい解説と総索引があるので読む助けとなると思う。

もともと洋書であるが、文中には沖縄の長寿者についての論文、

大学では金沢大学や名古屋大学の研究なども出てくる。

現代の科学がどれほど進歩しているのかを確認できる。

老化、サプリメント、性、酸素バー、スノーボール・アース、カンブリア紀、クローン、病気、ミトコンドリア、

フリーラジカルなど様々なことに興味のある人は読んでみてもいいかもしれない。