原爆句抄―魂からしみ出る涙 の感想

家族を失った深い悲しみを飲み込んで、絞り出すように句を紡いだ著者。
たった一人生き残った娘の子供、孫によるあとがきにも、ただ事実を正視して後生に伝えようという真摯な気持ちが満ちあふれている。
他を否定せず、他を批判せず、まっすぐに生きているのはこの家族の遺伝子なのか、我々が持ち合わせている日本人本来の心なのか。

この句集には、政治や安易な思想に利用されないまっすぐな力が宿っている。