世界の使い方 (series on the move) の感想

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タイトル世界の使い方 (series on the move)
発売日販売日未定
製作者ニコラ ブーヴィエ
販売元英治出版
JANコード9784862760678
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆

購入者の感想

スイスのジャーナリストが親友の画家と二人で、鉄のカーテンがどっしりと根を下ろし始めたころのユーラシア大陸をポンコツ車で横断した日々を綴った本。旅行記というには、あまりにもタフで生々しい。ところどころで数か月間滞在し、画家は展覧会や依頼の絵画制作を、著者は講演会や地元のメディアに寄稿などしてお金をため、そして、道なき道を東へと進んでいく。

彼らが旅した地域については地理のことも当時の時代背景のことも、自分の知識や理解があまりにも弱々しいがゆえに、読んでもぴんとこず、書いてある内容はほとんど頭に残らない。著者は相当なインテリなので、彼がさりげなく引用する様々な人やら本やら思想やらもさっぱりわからない。いったい今どこを旅しているかさえ、そのうち追いきれなくなってくる。それでも、なぜかぐいぐいと読み進めてしまい、読み終わった後、砂漠の乾いた空気や、どこまでも明るい陽射しや、バザールの喧騒や、夜の闇や、様々なものの色や匂いのようなものが、鮮やかに自分の中に熱を持って感じられる。生きていること、その瞬間の残滓のようなもの。

不思議な本だ。だから一般的におすすめなのか、もしくはどんな人におすすめなのか、正直よくわからない。でも読んだらきっと、著者が通り過ぎた時空を、ほんのちょっとだけ、自分も旅した気分になれる。行きたい場所かどうかはまた別の話だけど。

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