老後破産:長寿という悪夢 の感想

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参照データ

タイトル老後破産:長寿という悪夢
発売日販売日未定
製作者NHKスペシャル取材班
販売元新潮社
JANコード9784104056064
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

 この本は、2014年9月28日放送のNHKスペシャル「老人漂流社会 『老後破産』の現実」をベースに番組で紹介しきれなかった高齢者の現実も含めて描き直したルポとのことです。(本書の「はじめに」より)
 本書は、そのとおりの内容であり、多くの老人が生活に困窮し、行き詰まっているさまを丹念に描いています。
 
(a) 日本の年金制度はかつての親子同居時代に設計されており、国民年金では老人だけの世帯の生計を維持するのは難しいこと
(b) 普通に暮らしてきて、自宅や多少の預貯金があっても、病気などで多額の出費があると、たちまち老後破産になってしまうケースがあること
(c) 原則、自宅を売却したり預金を使い果たさなければ生活保護を受けられないので、住み慣れた自宅に住み続けたい人や預金がなくなってしまったときに生活保護を受けられなかった場合の不安感から、生活保護を受けていない人が多いlこと
(d) 食費にも事欠く生活では十分な医療や介護保険による介護も受けられないこと
(e) 生活困窮老人は、都市部でも田舎でも存在すること
等々の実態が、これでもかと繰り返しルポされています。

 私は、この本を読みながら、日本社会の荒廃ぶりに暗澹とした気持ちになりました。NHKスペシャルのテレビ放送もみましたが、改めて本書を読んで現実の厳しさを再認識しました。
 ただ、この本は良くも悪しくも「ルポに徹した本」であり、現状は描き出すものの、「ではどうすればいいか」の記述がほとんどありません。また、現在の制度の解説も詳しくなされているわけでもありません。とにかく老人たちの苦しい現実に同情的な筆致に終始するばかりの本です。
 現実を理解するにはいい本ですが、暗澹とした気持ちになるばかりで、今後の展望や方向性のないフラストレーションのたまる本です。

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