革命か反抗か―カミュ=サルトル論争 (新潮文庫) の感想

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タイトル革命か反抗か―カミュ=サルトル論争 (新潮文庫)
発売日販売日未定
販売元新潮社
JANコード9784102114094
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » フランス

購入者の感想

 30年ばかり前、某大学でフランス文学を勉強していました。そのころはまだカミュもサルトルも「現代文学」のうちでしたので、本書も読みましたが、はっきりいって半分もわかりませんでした。最近「シューシポスの神話」を部分的に読み返してみて妙に共感できるところがあり、「反抗的人間」も(抜粋訳ですが)読んでみたので、あらためて本書を読み返してみました。

 たしかに本書のカミュは意地が悪い。『レ・タン・モデルヌ』に載ったジャンソンの書評をサルトル自身が書いていると決め付け、サルトルが匿名で自分を個人攻撃していると邪推しています。しかしカミュの側にはそのように誤解してしまう事情があったのかもしれませんし、1950年代、アルジェリア独立闘争のテロで大揺れに揺れていたフランス第四共和制下の混沌とした政治文脈で読まなければ、この論争は正当に評価できないでしょう。

 しかしそれよりも何よりも、この論争はカミュの「反抗的人間」が発端になっているにもかかわらず、日本の読者はこの本を手軽に読むことができないことが問題です。本書に採録されているテクストは、サルトル側のほうが分量的に多いので、どうしてもカミュのほうが不利に思える。新潮社はどうして「反抗的人間」を文庫化しないのでしょう。この本を読まないかぎりこの論争の正当な評価はできないし、論争だけ読んだのでは、実存主義者たちがつまらない仲違いをやったとだけという印象しか残りません。版権も新潮社が持っているはずなのに、いったいどういうわけでしょう。

 いまさらカミュを文庫化して何の意味がある?という向きもあるかもしれません。「反抗的人間」はある意味コミュニズムを批判している面があるし、かと思えばテロリズムを容認しているようにも読めるので、文庫化には慎重なのかもしれない。

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