萌えキャラクターの描き方 コスチューム編 の感想

萌えキャラの服は顔や身体のパーツの単調さに反して、かなりきっちりしています。
シワも最低限は必要ですが、最低限以上は必要ないので、
萌え絵に必要なシワはどれか分からない人は巻頭の説明が参考になるかも知れません。
普段の絵でシワが多い人はこのコーナーが役立つかも。
また、身体のラインを「S字」に強調する際にS字の構図の邪魔にならない服選びが基本になるので
萌えキャラに着せる服を一通り知りたい人にも向いています。

また、線がシンプルな萌え絵だからこそ、靴下等の食い込み具合に気を遣わなければならないなど
説明自体は要所を突いています。

萌え絵の顔は描けるようになったけれど、何故か自分の絵が萌えないという人は
しぐさが萌え系ではないか、服が萌え系ではないかのどちらかと推測できますので、
本書か萌えキャラクターの描き方 しぐさ・感情表現編のどちらかで
自分の絵が萌えない問題を解決できるかもしれません。

ただし、本文のイラストを描いているイラストレーターさんの画力がまちまちで、
特に複雑な服を描いている人ほど、このシリーズの技法書が定義している「萌え絵」とは違う画風です。
なので「普通の絵の顔を萌えパーツにした」感があり、身体はその人の画風のままなので
服はうまいのですが、その絵に萌えるかというと微妙です。
絵は上手いけれど、萌えキャラ特有の可愛さに欠ける感じです。

そして可愛らしさを備えた「割と萌える絵」を描いているイラストレーターさんは
しぐさが単調で、服の描き方のポイントの押さえ方が曖昧なので、
参考にはなりますが、そのまま真似して練習するのには向きません。
（しぐさに関しては、服の解説のために単調にしているわけではない）

萌えキャラで用いられそうな衣服の書き方が解説されています。
各衣服には正面、側面、背面の書き方、そして、その衣服で
使われそうな数種類のポーズが掲載されており、衣服の書き方だけでなく
その衣服での基本的なシワの書き方もよくわかります。
各衣服の解説の前にはシワの基本も解説されていますので、
シワのでき方を知るのにも役立ちます。
多くのイラストレーターの方が解説されているので
様々なタイプのイラストが収録されています。
好みに近いイラストと、そうでないイラストを見比べることによって
自分の書きたい萌えキャラやコスチュームが見えてくるのもお勧めポイントです。
シワの解説をしているコスチュームが気に入らなくても
比較的好みのコスチュームと照らし合わせながら書くと好みの衣服が書けたりします。
髪の毛の書き方も詳しく解説されていますし、ページ数は少ないですが
フォトショップを用いた着色の方法も載っています。
これから萌えキャラを書こうと思われている方は、同じシリーズである
『萌えキャラクターの書き方 顔・からだ編』も一緒に購入されることをお勧めします。
こちらには様々な角度からの顔の書き方や、体、手、足の書き方などが載っていますので
顔の輪郭の基本が分かってきて、様々な萌えキャラを書くときに応用が効くのでお勧めです！