「バカダークファンタジー」としての聖書入門 の感想
参照データ
タイトル | 「バカダークファンタジー」としての聖書入門 |
発売日 | 2015-04-25 |
製作者 | 架神恭介 |
販売元 | イースト・プレス |
JANコード | 9784781607986 |
カテゴリ | 人文・思想 » 宗教 » キリスト教・ユダヤ教 » キリスト教一般 |
購入者の感想
本書のタイトル及び筆致(文体)は些か(「聖書」信仰者にとっては)“砕けすぎ”たイメージではあるが、その内容・検証(文献考証)においては、極めて資料実証的・学究的な態度で臨んでおり、「聖書」解釈に対する“考察方法”は極めて真摯であると思う。『バ カ ダ ー ク』とは「聖書」そのものを揶揄するものではなくて、多少砕けすぎた筆致(文体)ながら(=『バ カ』)、「旧約・新約聖書」における論理的矛盾、同一事象に対する不整合性、観念的不合理性、倫理的不義など(=『ダ ー ク』)を中心に、第3者的立場(「聖書」信仰者でないスタンス)から詳細に分析・考証するものであり、筆致(文体)の是非は格別、『聖書入門』は強ち失当ではない。「旧約・新約聖書」のほぼ全体について、第3者的立場からの前記『ダ ー ク』部分を中心に、著者自身の見解(解釈)と学説(通説的評価)等を明確に分けて比較考証している。これらに対する「聖書」信仰者からの評価は未知数だが、私見では本書では多くの文献資料(翻訳書・解説・注釈)を参照して解釈・検証(考証)しており、対象トピック(前記『ダ ー ク』部分)の抽出如何は別論としても、客観的な方法と評価できるものと考える。タイトルや筆致(文体)には、砕けすぎたイメージは否めないが、「旧約・新約聖書」の一節(翻訳文章)をそのまま正規に引用しても、(読者としての私には)恐らく右日本語の解析(解釈)に堪えられないように思う。かかる点で本書の筆致(文体)は砕けすぎとの批判を受けかねないが、少なくとも(要約を含め)非常に理解しやすいと言う効果は評価されるべきだろう。何にも増して、考証・分析における資料参照と注釈の豊富さは著者自身の「聖書」研究の姿勢を良く表していると思う。