数学いらずの医科統計学 第2版 の感想

医学統計の基礎と、悪用や勘違いについて、わかりやすく書かれています。

統計やロジックでのゴマカシで多用されるものに、
多重性や後出しじゃんけん（フィッシングとも呼ばれるデータの深堀解析）があります。

この重要な問題について、従来の入門~中級の教科書ではほとんど説明されていないのですが、
本書では重要なポイントとしてしっかりと解説されています。

サブグループ解析や後からデータを捏ね繰り回すことがいかに危険なことか。
捏ね繰り回した後に、他の解析を隠してしまえば、
表にはそのような恣意的操作が表れないので、簡単に捏造ができます。

それを防ぐために、事前に実験計画を定め公開しておく必要があるのです。
言い換えると、最初に研究計画やルールが公表されていないものは、
常に疑いの目で見る必要があるのです

このような、多重性と後出しじゃんけんを悪用した研究は、
医学系に限らず、ライフサイエンス全般、心理学、社会統計で氾濫しており、
大学でも企業でも意図的な捏造と、無知による捏造が氾濫しています。

医師でなくても、行政、健保、福祉、コメディカル、生物系や心理系の学生にもお勧めします。