昆虫―驚異の微小脳 (中公新書) の感想
参照データ
タイトル | 昆虫―驚異の微小脳 (中公新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 水波 誠 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784121018601 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 動物学 |
購入者の感想
新書が乱立し各社がラインナップを充実させようとするあまりに玉石混交となっている新書界で、本書はさすが老舗の中公新書と感じさせる傑作だと思う。
ミツバチのダンスなど昆虫がユニークな行動をとることや、領域で驚異的な能力を発揮することは既に知られているが、本書はその行動のメカニズムを脳神経の最先端の研究成果を用いて解説していく。
視覚、嗅覚にはじまり、記憶力や方向感覚、個体間の情報伝達など、本書の対象領域はそれぞれが極めて複雑なメカニズムであり、従来専門家だけの領域であった。
しかし、本書では興味深い昆虫の面白い現象面だけを書くのではなくそれを可能にする神経系統、更にそれが進化のプロセスでどのように獲得されてきたのかを最新の世界の研究成果を参照しつつ解き明かし、それでも一般読者がわかるように、論旨は明快で文章もわかりやすく、情報量もよく制御されている。この内容を新書にするのは読者にとっては幸運であるが、筆者は情報を編集する作業に大変手間取ったのではないかと思うが、あとがきに執筆に3年を費やしたとあって深く納得した。
さらに要点を太字にするなど、途中で放り出さないための工夫が随所に見られ、著者の情熱に心打たれる。
生物学の知識が全く無ければ読解は簡単ではないが、世界最先端の学者が、昆虫の微小な脳の興味深い構造と、人工知能や人間の脳を理解するヒントを丁寧に語ってくれる幸福を味わってほしい。
昆虫機械が現実世界に登場する日が遠くないことを感じる、文科系の読者も楽しめる一冊。
ミツバチのダンスなど昆虫がユニークな行動をとることや、領域で驚異的な能力を発揮することは既に知られているが、本書はその行動のメカニズムを脳神経の最先端の研究成果を用いて解説していく。
視覚、嗅覚にはじまり、記憶力や方向感覚、個体間の情報伝達など、本書の対象領域はそれぞれが極めて複雑なメカニズムであり、従来専門家だけの領域であった。
しかし、本書では興味深い昆虫の面白い現象面だけを書くのではなくそれを可能にする神経系統、更にそれが進化のプロセスでどのように獲得されてきたのかを最新の世界の研究成果を参照しつつ解き明かし、それでも一般読者がわかるように、論旨は明快で文章もわかりやすく、情報量もよく制御されている。この内容を新書にするのは読者にとっては幸運であるが、筆者は情報を編集する作業に大変手間取ったのではないかと思うが、あとがきに執筆に3年を費やしたとあって深く納得した。
さらに要点を太字にするなど、途中で放り出さないための工夫が随所に見られ、著者の情熱に心打たれる。
生物学の知識が全く無ければ読解は簡単ではないが、世界最先端の学者が、昆虫の微小な脳の興味深い構造と、人工知能や人間の脳を理解するヒントを丁寧に語ってくれる幸福を味わってほしい。
昆虫機械が現実世界に登場する日が遠くないことを感じる、文科系の読者も楽しめる一冊。