一〇〇年前の世界一周 の感想

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参照データ

タイトル一〇〇年前の世界一周
発売日販売日未定
製作者ボリス・マルタン
販売元日経ナショナルジオグラフィック社
JANコード9784863130852
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 歴史・地理・旅行記 » 紀行文・旅行記

購入者の感想

本書は、1905年ドイツ人青年が世界一周の旅をしたときに撮影された写真をもとに、晩年に作成された旅行記である。
彼は公務員として安定した生活を送っていたが、決まり切った、退屈な時間が将来にわたって過ぎていくことを危惧し、「非行少年の更生に関する情報収集」という名目で上司を説得し、世界に旅立つ。
飛行機のない時代なので、船でアメリカ、日本、朝鮮、中国、インドネシア、インド、スリランカなどの国を1年半かけて周遊する。

同時期に世界の各国がどのような状況にあったか知ることができ、大変興味深い。
中でも、日本の文化に特に感銘を受けたようで、多くのページを割いて説明されている。
当時の日本は明治の最盛期で、日本で出会った人々を「礼儀正しく、控えめで、偉大な文化をしめす簡素さを持ち合わせた人々」と記述している。そして、日本は生活のすみずみまで芸術が行き渡っており、すっかり魅了されたという。
また、中国やインドでは質素で、貧しさの中にあっても多くを要求することなく暮らす人々と出会ったと述べている。
(しかし、各国の経済発展とグローバル化の波によって、「足るを知る」精神も、独自の文化を失ってしまったように思う。100年の月日によって、世界がフラット化していく感じが見て取れる。完全にそうなる前に、旅をしたいという衝動に駆られる。)

一方、旅の途中で出会った西洋人に対して、「彼らの騒がしい態度、気取った流行の服装、大げさで派手な帽子、けばけばしいアクセサリー」に嫌悪を覚えたようだ。
彼自身、旅を通じて心に根を張っていた西洋中心主義や自分の文化から受け継いだ粗野な部分を矯正できたようだ。

最後に、著者は次のような言葉で締めくくっている。
「試みるだけで立派なことだ。」
「後ろを振り返ると、多くの過ちと怠慢に気づく。しかしそれは必要としたことを行った結果であり、私たちが自由であることをしめすものである。」
これは年老いたときに、若かりし日を思い出し、そして若さゆえの自由という特権を気付かせてくれる言葉だ。

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